そもそも自分の権利がわからないですが…。
企業が違法な働かせ方をしている事例で多いのは、
- 残業代の未払い、サービス残業、タイムカードのごまかし
- 有給休暇の不当な制限
- 労働保険や社会保険の未加入
- 解雇権の濫用
まず、これらのことがきちんと守られているか、チェックしてみましょう。
労働者災害補償保険(労災保険)
労働者災害保険法は、労働者(正社員だけでなく、パート、アルバイトなど呼称の如何を問わない)を使用するすべての事業に強制的に適用されます(個人経営の農林水産業の一部、国の直営事業は除く)。また、保険料については事業主が全額負担しなければなりません。
雇用保険
雇用保険は、原則としてすべての事業が適用対象になります(個人経営の農林水産業で労働者5人未満の事業は除く)。事業主は1人でも労働者を雇用した場合、雇用保険に加入しなければなりません。
適用事業所に雇用されている労働者は、原則としてすべて被保険者となりますが、例外として家事使用人、4ヵ月以内の期間を定めて雇用される季節労働者等は除かれます。
パートタイム労働者でも、週20時間以上の所定労働時間で31日以上の雇用が見込まれる場合は被保険者になります(ただし、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方は、「短時間労働被保険者」となります)。
健康保険
すべての法人の事業所は、健康保険に加入しなければなりません。
パートタイム労働者の場合でも、労働日数や労働時間が一般の被保険者のおおむね3/4以上の場合には適用されます。
厚生年金保険
すべての法人の事業所は、厚生年金保険に加入しなければなりません。
パートタイム労働者の場合でも、健康保険と同様、労働日数や労働時間が一般の被保険者のおおむね3/4以上の場合には適用されます。
労基署に申告したり、労働組合に加入したことで仕返しされませんか?
労基署など行政機関に内部告発したことを理由に不利益な取り扱いをすることは、労働基準法に罰則が設けられて禁止されています。万が一、不利益取り扱いをうけたときは、労働基準監督署に申告しましょう。
これと同じく、レインボーユニオンに相談や加入したことによって「会社の機密の漏洩」などといったこじつけで解雇しようとする会社もあります。これは労働組合法で禁止されていますし、ただちにレインボーユニオンとして不当な解雇撤回の交渉などを進めます。
普通の経営者なら弁護士や社労士に相談するので、労働組合員に対して不利益扱いをすれば、労働組合が黙っていないことは理解します。 実際には、組合加入することで不利益な取り扱いを受けることはむしろ少なくなります。
就業規則とは何ですか?
労働基準法では、常時10人以上の労働者(パート労働者も含む)がいる会社は就業規則を作成し、それを労働者に周知すると同時に、労働基準監督署に届け出なければなりません。
就業規則には、次の事柄は必ず記載されています。
- 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替勤務の切替時間と順序。
- 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切及び支払の時期並びに昇給に関する事項。
- 退職に関する事項。(解雇の事由を含む。)
定めをする場合には、次の事柄は記載しなければなりません。
- 退職手当、その他の手当、賞与及び最低賃金に関する事項。
- 食費、作業用品その他の負担に関する事項。
- 安全および衛生に関する事項。
- 災害補償及び業務外傷病扶助に関する事項。
- 表彰および制裁の種類並びに程度に関する事項。
- 労働者全てに適用されるような定めに関する事項。
就業規則を知らないという場合には、「就業規則を見せてください」と上司に聞きましょう。それでもなお見せないときは、保険証や社員証、自動車免許証などをもって、管轄の労働基準監督署に行き、就業規則のどの部分を知りたいのか述べて、閲覧を求めます。
「○○に委任する」というよく分からない書類は何ですか?
ときおり、上司が「○○の事項について、○○に委任する」という書類にサインを求めてくることがあります。それは、会社側が労働者の過半数を代表する者と協定を結ばなければならない事柄があるときに使われる書類です。よく理解してからでなければ、安易にサインしてはなりません。
労基法では、労働者過半数を代表する者(労働組合)と使用者が労使協定を結ぶ事項として定められています(労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合。賃金全額払いの例外。1ヶ月単位の変形労働時間制。フレックスタイム制。1年単位の変形労働時間制。1週間単位の非定型的変形労働時間制。休憩の一斉付与の例外。時間外・休日労働。事業場外労働のみなし労働時間制。専門業務型裁量労働制。年次有給休暇の計画的付与。年次有給休暇の賃金を標準報酬日額で支払う場合。育児休業が出来ない者の範囲。介護休業が出来ない者の範囲。子の看護休暇が出来ない者の範囲。再雇用制度の適用対象者を選定する基準。)。
これらのことが新たに定められるときや条件が変更されるとき、誰が労働者過半数の代表として選ばれたのか確認した方が賢明です。中には、裏で会社側が選定していたり、親睦会の代表を自動的に労働者代表にしていたり、一定の役職者が自動的に労働者代表になっている場合があり、労働者にとって不利な条件で締結されます。この場合は選出方法として認められませんので、労働基準監督署に申告しましょう。
ちなみに、人材派遣会社の労働者過半数には、派遣スタッフも含まれます。
上司が苦情の対応をしてくれないときはどうしたらいいですか?
会社で働いていると、さまざまなトラブルがありますが、労働環境を整えると改善できるケースがあります。そのことを上司に訴えてもまるで無視される状態であれば、レインボーユニオンに加入して会社と団体交渉しましょう。
部下が上司に訴える場合と異なり、労働組合が会社に話し合い(団体交渉)を申し出たときは、会社はその話し合いを拒否できません。しかも、最初からゼロ回答する用意しかしなかったり、回答を引き延ばすなど誠意のない対応をしてはならないと定められています。
レインボーユニオンに加入するには公務員や公務職場の場合はどうなりますか?
公務員は労働者ですが、公務員と国や自治体との関係は、行政法上の任用行為に基づくもので、双方の合意に基づく私法上の契約関係ではないとされています。したがって、原則として労働法理は適用されません。有期任用公務員は雇い止め制限法理が適用されないのが実情です。
ただし、労働基準法が適用される非常勤職員もおり、その境界はあいまいです。「独自規則」で有給休暇の日数が少ないなど、労働基準法違反の自治体職場も多数確認されます。民間の動きに合わせて、臨時職員の労働条件が少しずつ改善を図られるケースもあります。
特に、最近では民間委託が増えており、落札業者が変わるたびに労働者がクビになるということもにも注意しなくてはなりません。
自治体やその関連した職場で働いていたら、レインボーユニオンにご相談ください。
内定を取り消されたのですが、どうしたらいいですか?
採用内定によって労働契約が成立しているかがポイントです。「具体的な個々の事情、特に採用通知の文言、当該会社の労働協約、就業規則等の採用手続きに関する定め及び従来の取り扱い慣例による採用通知の意味等について総合的に判断して決定すべき」とされていて、「労働契約締結についての承諾の意思表示」と見なされる場合、解雇に準ずる取り扱いになります。
入社日を先延ばししてほしいと言われましたが、どうしたらいいですか?
採用内定によって入社予定日を就労の始まりとする労働契約が成立しています。したがって、入社予定者は当然、労働者としての地位がありますし、入社予定日以後は民法536条2項によって、賃金全額の請求権があります。労基法26条には賃金の6割以上を払わなければならない規定がありますが、これは刑事処罰に関する規定であって、会社には民事上の責任としてあくまで賃金全額の支払い義務があります。まずは会社に掛け合ってみて、それでも解決できないときはレインボーユニオンに加入して団体交渉を行いましょう。
採用時に労働条件は口約束だけですが、これでいいのですか?
法律上、契約期間、賃金、労働時間、休日など最低限、書面で明らかにすべきものが定められています。それらの記載のある雇用契約書(または労働条件明示書)は交付してもらいましょう。また、その他の条件は口約束でも労働契約は成り立ちますが、後のことを考えると書面の方がいいでしょう。
いま働いている状態で契約書等がない場合は、今の働き方が労働条件そのものです。「労働条件通知書」などを新たに作成し、労働条件を切り下げてくるケースもあります。このときは、レインボーユニオンに加入して団体交渉を行いましょう。
レインボーユニオンに加入するには求人票と違う条件で働かされていますが、これでいいのですか?
ハローワークの求人票に書かれた労働条件は、採用時などに労使双方の特段の合意がない限り、求人票に記載されている条件で契約されたと見なされます。したがって、その旨を会社に伝えてください。改善されない場合は、レインボーユニオンに加入して団体交渉を行います。
ただし、会社からの労働条件の変更に異議を申し出なければ、同意したものと見なされてしまいかねません。できるだけ早いうちに、対応しましょう。
なお、虚偽内容の求人広告は、職業安定法で犯罪として処罰されます。
レインボーユニオンに加入するにはいつまでも本採用されず、試用期間とされるのですがいいのですか?
試用期間に関する法律上の上限はもうけられていませんが、一般的には半年、最長でも1年が限度と解釈されています。ただし、試用期間の期限は必ず決めなくてはなりません。できるだけすみやかにレインボーユニオンに加入して団体交渉を行いましょう。
仕返しされ、本採用されないのではないかと思うかもしれませんが、まったくのでたらめです。本採用の拒否といえども、通常の解雇と変わらず、合理性がなければ無効です。本採用の拒否として認められるのは、採用時の面接などでは知ることができなかったものが判明した場合でなければなりません。たとえば、無断で欠席したり、経歴を詐称した場合です。勤務態度が悪いといった理由をこじつけてくることも考えられますが、この場合は会社側がどのような指導を行ったかが問われます。
正社員、契約社員、アルバイト、派遣労働者、請負など何が違うのですか?
正社員やパート、アルバイトなどさまざまな名称がありますが、それぞれ法律で明確に定義されているわけではありません。トラブル防止のためにも、自分の雇用契約について明確にしておきましょう。押さえるべきポイントは(1)雇用の期限があるのかないのか、(2)労働時間はフルタイムなのか短時間なのか、短時間ならば雇用保険や社会保険はどうなるか。(3)指揮命令者は誰か。
正社員は、期間に定めのない労働契約が締結されています。
契約社員や準社員は、有期雇用が一般的です。
パート、アルバイトなどは正社員よりも短時間雇用であることが普通です。しかし、中には残業させないだけでフルタイム働かせる「フルタイムパート」などという場合もあります。
派遣労働者は、(1)人材派遣会社(派遣元)に雇用され、(2)派遣元と派遣先の契約に基づいて派遣先に派遣され、(3)派遣先の指揮命令を受けて働く労働者です。
請負(業務処理請負)は、請負企業は発注企業の業務を請け負い、その遂行のために請負企業の従業員を発注企業に派遣したものです。あくまでも請負業務に従事して、指揮命令も請負企業が行うものです。
「業務委託にする」と言われましたが、何のことですか?
業務委託契約とは、委託者より特定の業務の処理を委託され、他人の指揮命令下に入らず、自己の道具を使い、委託者に特定の業務の処理を提供する契約です。つまり、「業務委託に切り替える」「完全歩合制にする」と言われたときは、会社はあなたを労働者として解雇して、個人事業主扱いにして業務の処理に対する報酬を払うと提案しているのです。
会社は、労働基準法や最低賃金法などの労働者保護法の規制を受けず、社会保険の加入義務を免れるために行います。女性に対しては、産前産後休暇の補償もないのです。当然、労働者の同意なしに一方的に条件を変えることはできません。きっぱりと拒否しましょう。「それができないなら解雇する」など言われたときは、不当な解雇です。レインボーユニオンに加入して団体交渉を行いましょう。
レインボーユニオンに加入するには辞めるように言われましたが、どうしたらいいですか?
会社から辞めてくれと言われるケースが多くなっていますが、すぐに回答する義務はありません。「大事なことなので、家に帰ってから考えます」と言いましょう。労働条件の切り下げへの同意か退職かの選択を迫られたときも、選択する義務はありません。この場合、整理解雇を行ってくることが考えられますが、整理解雇の4要件によって解雇権濫用になるかどうかを判断します。
家族や友人、弁護士やレインボーユニオンにご相談ください。
「会社が倒産しそうだから辞めてほしい」と言われたので、どうしたらよいでしょうか?
まず、倒産しそうかどうか確認する必要があります。そのためには、レインボーユニオンに加入して、会社と団体交渉しましょう。
もちろん、本当に倒産しそうだという場合もあります。会社が提案してくる早期退職に応募する手もあるでしょう。経営陣もふんばっていますからともにがんばる方法もあります。レインボーユニオンは、会社をつぶすことを目的にしていません。なるべく全員にとって、いい選択肢となるように応援します。
勤務先から賃金が支払われないときはどうしたらいいですか?
賃金支払いには5つの原則があります。
- 通貨払い
- 全額払い
- 毎月1回以上の支払い
- 一定期日払い
- 直接払い
この原則に反していたら、労働基準監督署に申告しましょう。しかし、この場合は先に支払いを勤務先に求める必要があります。
また、場合によっては、簡易裁判所に「支払い督促の申立」「少額訴訟の提起」を行う方法もあります。
賃金が安すぎるときはどうしたらいいですか?
最低賃金法に最低賃金制度が設けられています。最低賃金以上の賃金を使用者は支払う義務があります。なお、最低賃金は賞与や時間外労働の割増賃金、家族手当、交通費は含まれません。単純に支給総額の時間割の額が最低賃金を超えているからといって最低賃金以上の支給を受けているとは限らないので注意しましょう。
また、最低賃金をクリアしていたとしても、生活できる賃金とはいえません。最低賃金以上に引き上げるためには、レインボーユニオンに加入して、賃金引き上げを求める団体交渉を行う必要があります。精勤手当、住宅手当、家族手当なども法律に定めがあるわけではなく、就業規則などに従います。したがって、それらの支払いを求める場合も、団体交渉をするほかありません。
賃金を引き下げると言われたのですが、どうしたらいいですか?
賃金も労働条件の一つですから、あなたの同意なしに引き下げることはできません。就業規則を変更するという場合も、それに合理性があるかどうかと労働者代表の意見聴取が必要です。
何年もずっと賃金を上げてもらえませんが、どうしたらいいですか?
昇給は、雇用時の条件明示書に定めがあればその定めに従いますが、いくら昇給するか確約するものでなければ請求は困難です。このような場合は、レインボーユニオンに加入して団体交渉を申し入れ、昇給を求めましょう。
賃金に勤務成績を反映させるようにすると言われましたが、どうしたらいいですか?
勤務成績で賃金を上下させることには、必ず無理が生じます。勤務成績は、必ず数字にできるものではありませんし、グループ業務によっても変わってくるからです。そもそも、会社が能力給を導入する目的は、総人件費を押さえ込みながら、労働者どうしを競争させるためです。結果的に、職場の人間関係まで悪くなりかねません。レインボーユニオンに加入して団体交渉を申し入れましょう。
会社の物品を壊してしまい損害賠償請求され、賃金から天引きすると言われたら、どうしたらいいですか?
会社の物品等を壊してしまい、たとえ賠償しなくてはならなくても、その分を賃金から天引きすることは賃金の全額払い原則に反するので違法です。賃金は、定められたとおり支払ってもらいましょう。
その上で、賠償については会社と協議します。
事故などは、どうやっても完全に防ぎきれるわけではありません。会社も損害を最小限にする義務があります。たとえば社用車であれば車両保険をかけることができるはずです。一方、労働者側にマニュアル無視などの過失があれば一定の賠償はやむを得ません。このように、ケースによって異なるので、支払ってしまう前に、レインボーユニオンにご相談ください。
残業代を支払ってもらえないときはどうすればいいですか?
1日8時間、1週間40時間の法定労働時間を超えた労働が合法となるためには、会社が労働者代表と話し合って書面で協定を結び、労働基準監督署に提出することが必要です。この協定は「1日を超え3ヶ月以内の期間及び1年間」とされていることから、多くの場合は1年間です。
さらに、法定労働時間を超えた労働時間は、割増賃金を支払う必要があります。
「サービス残業」は絶対に許してはなりません。それを一度許してしまうと、際限なく広がって、誰かが過労死するまで止まりません。残業代の不払いがあれば、支払いを会社に求め、また、労働基準監督署に申告しましょう。交渉や労基署への申告で解決できない場合は、裁判所の利用も考えましょう。裁判所に未払い賃金請求の提訴をするときに、法外残業に関する割増賃金の未払いがあるときは、法廷の未払い額と同額の付加金も請求できます。
残業時間の計算例
法定休日は就業規則で日曜日と定められていれば、日曜日に働いた7時間には休日割増がつきます。(土日が休みの会社でも、土日のいずれかが法定休日であって、もう一日は勤務を要しない日です。) 火曜日に8時間を超えた1時間分に残業割増がつきます。たとえ月曜日の労働時間が短いとしても火曜日とならして残業割増を払わないということはできません。 1週間(就業規則に定めがあればそれに従い、定めがなければ日曜日に始まります)のうち、所定内労働時間の40時間を超えた分の4時間分に残業割増がつきます。火曜日の残業1時間と二重にカウントしないようにしてください。 |
|||||
曜日 | 労働時間 | 所定内
労働時間 |
日8時間超
残業 |
週40時間超
残業 |
休日労働 |
---|---|---|---|---|---|
日 | 7時間 | - | - | 4時間 | 7時間 |
月 | 7時間 | 7時間 | - | - | |
火 | 9時間 | 8時間 | 1時間 | - | |
水 | 8時間 | 8時間 | - | - | |
木 | 8時間 | 8時間 | - | - | |
金 | 8時間 | 8時間 | - | - | |
土 | 5時間 | 5時間 | - | - |
自発的な「残業」には残業代は払われませんか?
仕事がたまると明日までに終わらさなければと思って、上司の命令なく残業することがあります。これについて、使用者がそのような自発的残業を知りながら、これを中止させずに放置していた場合、「黙示の指示」があったと解されます。「お前の仕事が遅いからだ」「残業しろと言ってない」という会社側のいいわけは通用しません。残業代は当然払ってもらえます。
割増賃金の計算はどうなりますか?
時間給制であれば、その時間給単価を1時間あたりの賃金とします。
日給制であれば、1日の賃金を1日の所定労働時間で割って、1時間あたりの賃金とします。
月給制であれば、月給を1ヶ月の所定労働時間で除して、1時間あたりの賃金とします。このとき、月給とは、基本給だけではなく、何種類かの手当(家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金)を除く諸手当を加えて計算します。1ヶ月の所定労働時間数は、年平均の1ヶ月の所定労働時間数です。つまり、365日から就業規則で定められた所定休日日数を引き、1年間の所定労働日数を求めます。これに所定労働時間を乗じて、1年間の所定労働時間数を求めます。これを12で除すと、年平均の1ヶ月の所定労働時間数が求められます。
出来高払制その他の請負制であれば、それによって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して、1時間あたりの賃金とします。
これらの1時間あたりの賃金をもとにして、割増率を乗じて算出します。
残業割増率のアップ、有休の時間単位取得
時間外労働の月60時間以上は、割増率が50%になります。一方、割増部分を通常の有給休暇とは別の休暇を与えることもできるとされており、今でも代休取得ができないケースがあるので法の趣旨に沿った運用が求められます。
有給休暇の時間単位の取得を年間5日間を限度として、時間単位で与えることができるようになります。そもそも休暇は労働者を仕事から話して十分な休息が取れるようにするための会社の義務なので「1日単位」が望ましいとされてきたのですが、有給休暇の取得がなかなか進まないための措置となりました。
なお、いずれも細かな点は労使協定で定める必要があります。また、残業代の割増率は当面、中小企業に適用しないこととなっており、これを理由に割増率を上げない会社に対しては、労働組合から働きかける必要があるでしょう。
残業は定額しか払ってもらえないのはいいのですか?
現実の残業の有無や長短にかかわらず、一定時間分の定額の割増賃金を支給して、このほかには残業に対する割増賃金を支払わない「固定残業制度」を導入している会社があります。しかし、現実の時間外労働から算出される割り増し賃金額が固定残業給の額を超えている場合、差額を請求できます。
普通に考えれば、残業代の計算を簡易にするというメリットがある以外、固定残業制度は会社が必ず損をします。したがって、固定残業制度のある会社の場合は、未払いの残業代があると疑ってかかった方がよいでしょう。
始業前の朝礼や終業後に掃除がありますが、残業ではないのですか?
制服への着替えや朝礼、機械の立ち上げ、掃除、次の日の準備などは、当然に業務です。労働時間を超えている場合は、残業代の支払いを求めましょう。しかし、会社側はそれを「時間が短いから残業にならない」「お前の能力が低くだらだら仕事しているからだ」と言い張って残業と認めない場合がありますが、そのときは自分で残業時間をメモしてください。それを元に残業代を請求できます。なお、民法上の時効は2年です。つまり、2年前までさかのぼって支払わせることができます。
1日10分程度の残業に残業代はつきませんか?
短時間の労働時間を残業時間としてカウントしない会社がありますが、間違いなく違法です。労働時間はそれが1分であっても労働時間として計算しなければなりません。ただし、(1)1ヶ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること、(2)1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること、(3)1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、(2)と同様に処理することは違法として取り扱いません。
つまり、1日を単位として時間を丸めることは違法です。1日10分ずつでも1ヶ月約22日分とすれば、加算すると3時間40分となり、上記の方法で丸めると、残業時間は4時間と計算しなければなりません。
仕事がないから休んでくれと言われたときは、どうしたらいいですか?
会社の責によって休業しなくてはならなくなった場合、民法上は賃金全額の請求ができます。労基法では平均賃金の6割以上を支払われなければ、会社は処罰の対象となります。賃金の6割が払われているからそれでいいというわけではありません。また、就業規則で兼業が禁止されている場合、会社が賃金全額を保障しないときは、このことをもとにアルバイトを認めてもらいましょう。
なお、会社の責に帰すべき事由とは、(1)使用者が労働者を違法に解雇、出勤停止、ロックアウトしたとき、(2)機械の故障や検査、(3)原料や材料不足、(4)電気等エネルギーの供給不足、(5)運転資金の不足等による操業の停止です。
管理職になって手取りが減ったのですが、どうしたらいいですか?
一般的な会社だと課長以上を管理職として、管理職手当を付けるかわりに残業代が支払われなくなることが行われます。
これは、労基法によって、管理監督者は労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用除外されているためです。しかし、法のいうところの管理監督者は、立場と権限をふまえて実態から判断します。本当の管理監督者は、経営者並みの立場でなければなりませんので、十分な権限もなく、相応の待遇等も与えられていないのであれば、「名ばかり管理職」です。残業代を請求しましょう。
なお、管理監督者であっても、深夜割増、年次有給休暇の制度が適用されますし、長時間過重労働は会社に健康管理の義務がありますので、医師による面接指導等の措置を求めましょう。
賃金未払いのまま、会社が倒産したときはどうしたらいいですか?
会社が倒産し、賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、「賃金の支払いの確保等に関する法律」に基づいて、未払い賃金のうちの一部を事業主に代わって国が立て替え払いする制度があります。請求は労働基準監督署をとおして独立行政法人労働者健康福祉機構に提出しますが、申請は、退職の日の翌日から6ヵ月以内にしなければなりません。
賃金過払いを会社から請求されたときはどうしたらいいですか?
会社側が賃金を余計に払っていたとして、過払い分を請求してくることがあります。民事上の請求権は会社にあり、労働者には返還する義務が生じます。しかし、労働者に悪意があったわけでなく、会社側にも落ち度があったのですから、返還額や返還方法はよく話し合いましょう。賃金からの控除も4分の1以上は禁止されています。また、会社が一方的に賃金と相殺することは違法です。
日をまたいで働いているときの勤務時間の考え方は?
午前0時を過ぎて暦日が異なったとしても、継続した勤務は前の日の勤務の継続として扱います。つまり、1勤務の中で、8時間を超えた部分には、所定の割増賃金を支払ってもらえます。
退職してすぐにお金が必要ですが、どうしたらいいですか?
退職する場合で労働者が請求すれば、会社は所定の支払日にかかわらず、請求から7日以内に賃金を支払わなければなりません。また、積立金や保証金などの返還も同様です。
退職金を払ってもらえないのでしょうか?
退職金は、法律的には何の決まりもありません。したがって、労使の取り決めによります。
就業規則に退職金の定めがある場合は、賃金同様、きちんと支払ってもらいましょう。明文化した規定はなくても、慣例として支払われていた場合は、それまでに退職金をもらった人たちの勤続年数や金額を調べて、相当する金額を支払ってもらいましょう。
有休が認められず欠勤扱いされるのですが、どうしたらいいですか?
年次有給休暇は法律で定められているので、会社の取り決めによって生じるものではありません。最低でも雇い入れの日から6ヶ月継続勤務して、全労働日の8割以上出勤すると、年次有給休暇が発生します。会社の規模によらず、「いついつに年次有給休暇を取得する」と事前に届けた時点で、有給で休むことが可能です。もちろん、理由を告げる必要はありません。当然、会社は年次有給休暇の取得を拒むことはできません。ただし、会社側が時季変更権を行使する可能性がありますが、それに相当する事例はほとんどあり得ません。
なお、有休の買い取りは原則として認められていません。あくまで賃金支払いが補償された条件で休むことが権利として認められています。
有休取得を制限する場合は、労働基準監督署に申告するか、レインボーユニオンにご相談ください。ただし、有給休暇の取得を届け出ずに、有休が取れないと言っても労基署は対応しません。
6ヶ月で契約更新しているので有休はないのでしょうか?
6ヶ月更新といえども、継続して勤務すれば年次有給休暇が発生します。公務職場で1日から1ヶ月の空白期間を開けて契約更新していることが見られますが、そのような場合でも年次有給休暇が発生し、前年分は次年に持ち越せます。
有休を取ると、皆勤手当が支払われなくなるのではありませんか?
労働基準法で有休権を認めた趣旨は、その取得を出勤扱いすることです。したがって、年休取得を妨げるため、賞与や皆勤手当の減額を行い、その趣旨を失わせることは無効になります。労働基準監督署に相談すると、趣旨を失わせるかどうかが判断基準になるので必ず改善されるわけではありません。レインボーユニオンに加入して、団体交渉で改善させる方がいいでしょう。
有休を取ると交通費は払われないのですか?
交通費は、自宅と会社を往復するための実費弁償的なものです。交通費の支払いについて、就業規則等の会社の定めを調べてください。通常、通勤しなかった日の分だけ交通費を減額することには、合理性があると言えるでしょう。
その他の手当については、その目的によって合理性があるかどうかを考える必要があります。家族手当などは家族のための支給ですし、住宅手当は住居のための支給です。出勤しないからといって家族や住居がなくなるわけではないので、休暇を取ることによって減額することは不合理です。
退職前に有休を消化しようとしても「業務上困るのでできない」と拒否されたときはどうしたらいいですか?
退職前に未消化の有休休暇の消化を申し出たときも、通常の有休と同様、会社側は時季変更権が使えるだけです。しかし、変更できる日が退職日以前になければ期日の変更もできませんから、労働者が届けどおりに有休休暇となります。
それでも、会社が「有休を認めない」という場合には、有休届を会社に出した上で労基署へ申告するか、レインボーユニオンにご相談ください。
アルバイトだと有休は取得できないんですか?
年次有給休暇は、パートやアルバイトでも取得できます。付与日数は労働時間に比例して短くなります。取得理由を問われることはありません。取得の理由を問いただしたり、取得させないようにすることがあれば、労働基準監督署に申告するか、レインボーユニオンにご相談ください。
退職前の有休消化中に次年度になりますが、新たに有休は発生しますか?
年次有給休暇は、一定期間の継続勤務と8割出勤の際に発生します。長期勤務者の場合で有休の消化日数が少なければ40日となる場合もあるでしょう。すべて消化するには2ヶ月ほどかかります。この間に基準日(1月1日など)がやってくると、有休は過去の勤続年数と出勤率に基づいて発生するので、このとき追加で20日が発生します。
会社で健康診断を行ってくれるのですか?
最近、過労死が急増していることから、会社の労働者に対する健康管理責任が問われる時代です。会社側が「知らなかった」で済まされる時代ではありません。
会社は、健康診断を実施しなければなりません。健康診断には2種類あり、定期健康診断と特殊健康診断です。
特殊健康診断は、一定の有害業務従事者を対象とし、有給で実施されます。
定期健康診断は、既に1年以上継続雇用している、または今後1年以上継続雇用する見込みであり、かつ、1週の所定労働時間が正規労働者の4分の3以上である労働者が対象です(労働時間が正規労働者の2分の1以上の労働者も実施が望ましいとされます)。費用負担については有給が望ましいと通達されています。1年に1回の実施が必要ですが、所定労働時間の全部又は一部が深夜時間帯にかかる労働者や特定業務に常時従事する労働者については、6ヶ月に1回でなくてはいけません。
これを怠っている会社は処罰の対象です。
長時間の仕事で疲れがたまり健康不安を抱えているのですが…。
会社には、労働者の健康と安全を守る義務があります。近頃、安全配慮義務違反のため過労死や過労自殺が頻発しています。残された遺族が訴訟を起こし、損害賠償を認めさせる判例も多々ありますが、そのような状況になる前に、次のような点をチェックして、会社に安全配慮義務を果たさせましょう。
- 労働者の労働時間の管理が行われているか。残業時間が月45時間を超えていないか。
- 快適な職場環境が維持されているか。事務所、作業所、トイレ、休憩室など適切に設置されているか。
- 作業環境を測定しているか。
- 有害物の規制がなされているか。
- 安全衛生管理体制が整っているか。
- 機械の危険防止、墜落するおそれのある場所からの落下防止などがなされているか。
また、月の法定時間外労働時間が100時間を超えたら、会社に対して医師による面接指導を求めましょう。会社はその結果に基づく具体的な措置を講じなければなりません。また、長時間労働により疲労の蓄積が認められる労働者や健康に不安を感じたら、医師の面接指導に準ずる措置(保健師面談など)を講ずる努力義務を果たすよう求める方法もあります。
職場でいじめられ、体調が悪くなる時があるのですが…。
職場でのいじめ、いやがらせ、セクハラ、パワハラが原因で体調がすぐれない時は、(1)具体的な事実関係をメモしてまとめる、(2)病院で診断を受ける、(3)会社の相談窓口等に相談する、など体調と相談しながら行ってください(ただし無理は禁物です)。
仕事中に怪我をしたら、それを言うなと止められたのですが…。
それは「労災隠し」という犯罪です。健康保険を使えば、医療費は3割自己負担で休業補償も6割です。たとえ、会社側が治療費を全額支払うといっても、それに荷担してはなりません。同じようにけがをする労働者がまた次に生まれるのです。
業務による怪我は、労働災害です。その旨を医療機関の窓口に申告して労災保険を請求してください。
療養した医療機関が労災保険指定医療機関でない場合は、いったん療養費を立て替えて支払ってください。その後「療養補償給付たる療養の費用請求書」を直接、労働基準監督署に提出すると、その費用が支払われます。
報告を怠った会社には、50万円以下の罰金が課されます。
アルバイトでも労災で休業補償は受けられますか?
個人経営の農林水産業の一部、国の直営事業を除き、労災保険はアルバイトでも加入しています。休業補償の給付を受けるためには、(1)業務上の負傷または疾病のため療養している、(2)その療養のため労働することができない、(3)労働することができないため、賃金を受けていないの3点をすべて満たしていればいいのです。なお、休業の最初の3日間は使用者に平均賃金の6割以上による災害補償が義務づけられています。休業補償給付の額は、原則として平均賃金の6割ですが、特別支給金として平均賃金の2割が支給されるので、全体では平均賃金の8割が支給されます。
私傷病で労務不能になり不安ですが、どうしたらいいでしょうか?
私傷病で欠勤し賃金が支払われない場合でも、安心して療養に専念するため、「傷病手当金」が支払われることがあります。会社に問い合わせてください。ただし、保険担当者でも、傷病手当金について詳しくない人もいるのが実際です。「健康保険法」を読んで、まず自分で理解しましょう。
傷病手当金が支払われるためには、次の要件が必要です。(1)療養のために労務に服することができない。(2)医師証明のある労務不能の日が継続して3日間ある。(3)労務不能により報酬が受けられない。ただし、報酬が支払われた場合で、支払われた報酬の1日あたりの金額が傷病手当金の支給額より低ければ、その差額が支払われる。(4)健康保険の被保険者である。
なお、国民健康保険には、傷病手当金制度はありません。
社会保険に加入させてくれないときは、どうしたらいいでしょうか?
健康保険や厚生年金保険は、従業員が1人以上いる法人は加入しなくてはなりません。しかし、その保険料を労働者だけではなく、会社も支払わなければならないため、わざと加入させないことがあります。そのときは、所轄の社会保険事務所に届け出るか、レインボーユニオンにご相談ください。
「男性(女性)しか採用しない」と言われたらどうしたらいいですか?
性別によって採用試験を受けさせないことは、男女雇用機会均等法に違反しています。まずは、「そのようなことを言わないで、私も一生懸命仕事するつもりなので、試験だけでも受けさせてください」と言うのが穏便な方法です。それでも拒否する場合は、労働局雇用環境・均等室に相談しましょう。
産休や結婚を申し出たら解雇されませんか?
産休を取ろうとしたら、仕事に支障があると言われ会社が解雇を促すことがありますが、妊娠を理由とした解雇は許されていません。もちろん、意に反した退職に応じてはいけません。これと同様に、結婚を理由にして退職を強要することも違法です。
会社内に結婚や妊娠で女性が辞めるのが当然という雰囲気がまだ残っているのあれば、それは会社がそのような雰囲気を放置していることが問題です。決して辞める必要はありません。
セクハラで困ったときはどうすればいいですか?
相手が悪気がなくても、あなたの意に反する性的な言動はセクハラに該当する場合があります。会社には就業環境配慮義務があります。まずは会社の相談窓口に相談しましょう。また、損害賠償請求や行政指導を求めることも可能です。
いじめ、セクハラ、パワハラ対処法妊娠中で仕事がきついのですが、どうすればいいですか?
妊娠中の女性の就業には母性保護の観点から、制限がかけられています。妊産婦が請求したときは深夜業をさせてはなりませんし、軽易な業務に転換しなくてはなりません。また、重量物の取り扱いや有害ガスの発生する場所などにおける業務も禁止です。母子健康法に基づく保健指導が守られるように勤務時間を変更したり、勤務を軽減するなどの必要な措置を講じることも必要です。
このような制限に対する違法行為は、未来の子どもたちに対する犯罪行為として、厳しく取り締まらなければなりません。おなかの中の赤ちゃんに同じような仕打ちを与える社会を引き継ぐわけにはいきません。労働局雇用環境・均等室に訴えたり、レインボーユニオンにご相談ください。
育児中も働きたいのですが子育てと両立できるでしょうか?
3歳未満の子どもを養育する労働者が申し出れば、短時間勤務やフレックスタイムなどの勤務時間の短縮等の措置がとられます。また、小学校就学前の子どもを養育する労働者も深夜業や時間外労働に関する制限があります。就業規則で定められていなければ、法の定めに応じた措置をとってもらいましょう。これらのことは母子手帳にも記載されています。
子どもとの時間を増やすにはどうしたらいいでしょうか?
3歳未満の子どもを育てる父親、母親を対象に「1日6時間」の短時間勤務制度の導入と所定外労働の免除が義務づけられています。これを積極的に活用しましょう。
子どもが急に熱を出しましたが、有休がもう残っていないときはどうしたらいいでしょうか?
小学校就学前の子を養育している労働者は、会社に申し出ることで1年に5日まで、病気やけがをした子どもの看護のために、休暇を取得できます。これを「子の看護休暇」と言います。申し出は口頭でも認められ、会社は業務の繁忙等を理由に子の看護休暇の申し出を拒めません。当然、このことを理由とした解雇その他の不利益取り扱いは法的に禁止されています。
育児や介護で大変なのに転勤を命じられそうなのですが?
育児介護休業法では、転勤によって育児や介護が困難となる労働者に対して、事業主は配慮しなくてはならないとされています。まず、家族の状況を会社に伝えて、それでも改善されない場合は、レインボーユニオンに加入して会社と交渉しましょう。
突然解雇されたときはどうしたらいいですか?
解雇をするには、社会的に相当で合理的な理由が必要です。「能力が低いから」は合理的な理由となりません。「業務を縮小するから」も有無を言わせずの解雇はできません。整理解雇には、(1)人員削減の必要性、(2)解雇回避努力、(3)人選の合理性、(4)労働者に対する説明協議の4要件を満たさなければならないのです。合理的な理由がないときは、解雇は無効です。
また、原則として30日前の解雇予告をしないときは、30日分の賃金に相当する解雇予告手当の支払いを行わなくてはならない規定もあります。
また、期間の定めのある労働者を契約途中で解雇することは、労働者の同意のないときには基本的に違法です。契約期間そのものも労働条件の一つですから、残り契約期間の賃金全額相当を請求できます。
倒産や破産の場合でもあきらめないでください。勧奨退職や解雇と言われても、「辞める」と言ったり、退職届を出すと自己都合退職扱いされ不利になります。帰って相談する人がいると告げて、すぐさまレインボーユニオンにご相談ください。
雇い止めされたときはどうしたらいいですか?
期間従業員として長年勤めてきて、次の更新があると思っていたら、「今回で契約更新はありません」と解雇されることを「雇い止め」と言います。
この場合、実質的に期間の定めのない労働契約と同じだったかどうかで判断します。契約更新の回数、契約更新の時のやりとりなど、十分に契約更新の期待を持っていたと判断されるようなケースでは、実質的に期間の定めのない労働者(つまり、正社員)と同様で、雇い止めは解雇と同じ意味になります。会社が正社員を解雇するために必要な4要件を満たしてしているかどうか確認するため、すぐさまレインボーユニオンにご相談ください。
派遣ですが突然、中途解除されたときはどうしたらいいですか?
派遣元からの解雇は、通常の労働者と同じ扱いで、いつでも行えるわけではありません。残りの契約期間中は、派遣元に新たな就業先を確保させ、それまでの期間の賃金保障(労基法では休業手当として賃金の6割以上)を行わせましょう。
派遣先が中途解除を申し入れるには、派遣元に対して30日以上の期間は必要です。派遣先に正当な理由もなく、これを派遣元が受け入れて解雇したときは、派遣元に対して残り契約期間の賃金全額相当を請求しましょう。
見習い中ですが、簡単に解雇されても仕方ないんですか?
試用期間中といえども、労働者を解雇するにはそれ相当の合理的理由が必要です。軽微なミスを理由にされるのであれば、それに対して事業主は指導などしてきたかどうかも問われることになります。「仕事にむいていないから本採用しない」などということはできません。また、14日を超えて雇用されている場合には、労基法に基づく解雇予告も必要です。
実際は辞めさせられたのに、自己都合退職とされたので失業給付がすぐにもらえないときはどうしたらいいですか?
実態として退職させられたのに、離職票に「自己都合による退職」とされる場合が見受けられます。その場合は、離職票をハローワークへ持って行ったときに離職票の異議欄に「会社による退職勧奨のため」などと記入して、退職に至る経緯をできる限り詳しく説明してください。ハローワークがそれを認めれば、「特定受給資格者」となります。
辞めろと言われたのに「退職届」を書かされたときはどうしたらいいですか?
会社から退職を促されても、辞めるつもりがなければ退職に同意してはいけませんが、さまざま経緯から「退職届」を書かされ、自己都合で退職したことにされるケースがあります。この場合は、できるだけ速やかに退職届の撤回を会社に通告します。それを「受け付けられない」と突っぱねるときは、すぐさまレインボーユニオンにご相談ください。
「辞めてもらってかまわない」「あなたにやる仕事はない」と言われましたがどうしたらいいですか?
それは「解雇だ」と言われたわけではありません。そうやってあなたを煽って、「だったら、こんな会社辞めてやる」(つまり、自己都合で勝手に辞める)と言ってくるのを誘っているのですから、そんな誘いに乗ってはいけません。あとの生活のことを考えて、ぐっとこらえてください。しかし、いずれ「解雇だ」と言ってくる可能性があります。言われてから対処するよりも、言う前に対処しておく方が簡単なので、すぐにレインボーユニオンにご相談ください。
労働組合に入るにはどうしたらいいですか?
会社役員でない限り、労働組合に入ることができます。それぞれの労働組合は規約に基づいて運営されており、その中で加入できる人の範囲を定めていますから、それに合致すれば労働組合に入ることができます。
労働組合を作りたいのですが、デメリットはありますか?
労働組合(または、ユニオンとも言います)は、労働者が集まって、会社に要求を行い、自分たちの労働条件を向上させるための自主組織です。届け出や許可は不必要で、自由に作ることができますが、労働組合法に基づいた規約を持っている場合、労働委員会から労働組合としての認定を受けることができます。なお、労働組合法の言う「労働者」は、下請けとして働いている個人事業主を含むケースがあります。また、公務員や公営企業につとめている場合は根拠法令が異なることがあります。
労働組合は、使用者に対して、対等平等の立場で、誠実に交渉させる義務を負わせることができます。また、自分たちの要求を貫徹するために、ストライキや会社前宣伝など実際の行動を起こすことができます。
ただし、労働組合を立ち上げるには労働者が複数人必要で、規約や運営資金も必要です。もたもたしている間に会社が組合つぶしをしてくるといったことは、歴史上何度も行われています。ですから、危ない橋を渡るよりは、レインボーユニオンに加入してから行動したほうがよいでしょう。
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