管理職だから残業代の支払いがなくてよいということではありません。長時間働かされても、残業代を払ってもらえない「名ばかり店長」「名ばかり管理職」からの労働相談を受け付けています。
- 出退勤の自由裁量がない。
- 仕事の内容が以前と変わらない。
- 労働時間と比較して、管理職に見合った手当がない。
- 管理職にふさわしい権限がない。
役職手当が残業代不払いの手段になっていませんか
昇格して役職手当が付いたとたん、残業代が支払われなくなることがあります。
飲食店や小売チェーンにおける「名ばかり店長」は、残業代カットの手段でした。しかし、労働基準法の想定する管理監督者は、経営者と一体的な立場にある人です。一般的な管理職は、これに当たらないと考えてよいでしょう。
「役職手当」とは、基本給とは別に会社がその役職に支払う特別な手当です。就業規則に、手当の一部に残業代が含まれていることを明記している場合がありますが、もしも、手当が実際の残業代を下回っていたら、その差額を残業代として支払ってもらう必要があります。
管理監督者だとしても
管理監督者だとしても、深夜勤務手当の規定の適用は除外されていません。健康管理義務もあるので、会社は出退勤時刻の把握は必要です。しかし、遅刻や早退で賃金が減額されるような場合は、労働時間に関する自由裁量がないので管理監督者と見なせません。
管理監督者には企業の経営方針や労働条件、人事に関与するような経営者と一体的な立場が求められています。店長の場合、店舗については大きな責任を持ちますが、企業全体に対して関与しているかどうかは疑わしくなります。
「管理職で残業代が支払われなくなったから、手取りが減った」というような場合は、管理監督者としてその地位にふさわしい基本給や役職手当が支払われているとは言いにくくなります。一般職と比較して、優遇措置があるかどうか比較しなくてはなりません。
労働基準法では、「管理監督者」に1日8時間といった労働時間の制限や週1日の休日を与える義務がなくてもいいとされています。管理監督者は、経営者と一体的な立場で、自分自身で労働時間の裁量権があるからという理由です。つまり、社内の肩書きが「管理職」だからといって労基法上の管理監督者だとは限らないのです。