事業主として労務管理上気をつけること

労働者だったときは気がつかなかった責任をあなたは持つようになります。それが起業する人に欠けてはならないことです。


起業して事業主になったときに気をつけることをご紹介します。

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  • 事業主として最低限度の法令は守りましょう。
  • 他社との競争を考えたときに、労働者があまりにも不利になるような条件は、長い目で見たときに会社に不利になります。
  • 法令は時とともに変化しますので、最新情報は行政機関に聞きましょう。

組合員の中から起業する人もいます。労働者として困難な時期もあったからこそ、事業主となったときには、以下を参考にちゃんと労務管理ができるようになってもらいたいと思います。

法令は時とともに変わります。最新の情報は、ハローワークや労働基準監督署等で確認しましょう。

採用時

労働者を募集するときには、求職者に対して必要な情報を書面で明示しましょう。たとえば、業務内容、契約期間、就業場所、労働時間、賃金、社会保険の加入の有無などです。労働条件の明示は、採用の際にも使用者に求められます。

誰を採用するかは、基本的に自由に決められますが、法律で禁止されている事柄もあります。たとえば、性別や年齢、組合員であるかどうかなどです。募集にあたって、原則として年齢は不問とし、「男性のみ」「女性のみ」「男性歓迎」「女性向きの仕事」のようなことを記載してはいけません。

また、従業員に必要な能力をきちんと明示して、それと関係のない事柄については聞かないようにしましょう。たとえば、家族状況や出生地は、まったく関係のない事柄です。そういう個人情報を集めるだけで、応募者から不信をもたれます。

ハローワークでは、雇い入れに関しての助成金制度が紹介されていたりしますので、積極的に活用しましょう。

雇い入れの前に、労働条件の中には文書で明示しなければならないものが決められています。法令は時と主に変化します。テンプレートは労働基準監督署に用意されているので、できる限り新しいものを利用してください。

採用した以上は、きちんと責任を持ちましょう

事業主は、採用に関してはほとんど自由に決められます。

それだけに、採用した以上は、労働者に対してきちんと責任を持たなくてはなりません。労働者とその家族の人生がかかっています。解雇は簡単にできることではありません。

試用期間は、お試し期間ではありません

採用直後に「試用期間」をもうけるケースがあります。

採用時にはわからなかったことを理由として解雇がやや広く認められる期間ではありますが、むげに解雇できるわけではありません。どのような労働条件だったのか、きちんと指導したかが問われ、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ無効とされます。

労働条件・職場環境

労働条件に関する最低基準を定めた法律-労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法-は遵守しましょう。

特に問題になるのは、有給休暇、残業代、社会保険の3つです。労働者が一番気にするところです。また、最近はメンタルヘルスの確保など、労働者の健康管理についても重要視されています。長く働くためには、労働者が健康でいられるように、長時間労働を避け、家族生活との両立のできる職場を作りましょう。

パートタイマーでも有給休暇があります

パートタイマーでも有給休暇があります。しかし、取得しにくい雰囲気があれば、有給休暇を取得しようとする人はいないでしょう。これでは、他の会社と比較されると、不満が生じることになります。

たとえば、労働者が急に休まなければならないようなときに「有給休暇を使ってもいいんですよ」と声をかけて、有給休暇を取得できることをきちんと伝えることです。何日残っているのかについても、当然記録し、労働者に伝えましょう。

残業させるときは36協定を結びましょう

残業させる必要があるときは、36協定を結ばないと刑事責任を問われます。

まず労働者の中で代表者を決めてもらってください。事業主が指名してはなりません。選挙、挙手、話し合いなどによって自主的に選んでもらってください。

次に、選出された労働者代表とどれぐらいの時間の残業まで行えることにするか定めて、様式に記載して労働基準監督署に提出してください。

なお、月45時間以上の労働は健康を損なうことが明らかになっています。もし何かあったら、事業主が責任をとらなくてはなりません。長時間残業は避けて、十分な人を雇い入れ、教育研修も計画的に実施しましょう。

残業代をきちんと計算してください

労働時間を適正に把握し、残業代をきちんと計算してください。例外的な制度もありますが、その運用は大変ですし、他社と比較されたときに不公平感が生じる原因です。「1日8時間、1週40時間、週1日の休日」の原則が一番わかりやすく、よいでしょう。

労働時間の把握は、使用者の義務です。始業時刻と終業時刻は、1分単位で把握してください。そして、1分単位で賃金計算してください。15分未満の切り捨てなどを行う会社もありますが、それは違法です。違法に切り捨てた不払い賃金は、あとで一括で請求を受けることとなります。絶対に行ってはいけません。

労働保険や社会保険には、きちんと加入

労災保険は、人を雇ったら必ず加入しましょう。雇用保険や社会保険は、加入条件を満たす場合は、必ず加入させましょう。保険料は決して安いものではありませんが、労働者とその家族の安心のためです。

就業規則をつくって、周知しましょう

就業規則は、労働条件や服務規律について使用者が作成する文書です。

ある程度の規模になると作成が義務づけられますが、そうでなくても、労働者の労働条件を統一的に決めることができて、とても重宝します。

作成したら、従業員に周知しましょう。使用者が机の中にしまっておいて周知していない就業規則には、法的拘束力はありません。

賃金

賃金とは

賃金とは、労働の対償として使用者が支払うものとしています。

家族手当のような労働者の属性によって支給されるものも含めるものと解されています。

休業手当

労働者が出勤したのに、仕事がなかったとしても、その理由が天災地変の理由のようなものでなければ、使用者は労働者を無給で帰すことができません。

使用者に責任のあることで休業しなければならないとき、当該労働者には、平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません。これが休業手当です。

公平な賃金体系を

使用者が、労働者に対してどのような基準によって賃金を支払うかは、基本的には自由です。しかし、国籍、信条、社会的身分、性別、組合員や組合活動を基準として賃金を決めることは違法・無効です。また、公序良俗に反する基準を使うことも許されません。学歴、年齢、勤続年数、職務遂行能力、成果、職位、資格、権限、責任などの基準を使用して、公平感のある賃金体系をとるようにしましょう。また、そうしないと、労働者間でいさかいが生じます。

たとえば、固定残業代は、多く残業した人もそうでない人も、同じだけの手当が支給されます。特に、休みがなくなっても、固定残業代に含まれるような仕組みをとると、その不満は非常に大きくなります。さらに、過労死防止基準を超えるような固定残業代の支払いを行えば、過労死を招くことを承知していたこととなり、責任を問われます。たとえ違法でなくても、固定残業代でいいことはありません。年齢や経験をもとに基本給を定め、労働時間に比例する残業代を支給するほうが単純でわかりやすく、よいでしょう。

雇用の終了に関するルール

使用者からの一方的な申し出による労働契約の終了を、解雇といいます。解雇は、いつでも自由に行えるものではありません。一定の場合は、法律で解雇が禁止されています。解雇は労使紛争で一番大きな出来事となります。慎重に判断してください。

労働者からの一方的な申し出による労働契約の終了を、退職といいます。労働者には職業選択の自由があり、基本的に引き留めることはできません。退職してもらいたくないような人材を確保するのであれば、それ相応の労働条件を用意しましょう。

期間の定めのある労働契約は慎重に

3ヶ月などと期間を決めて労働契約を結ぶケースもあります。しかし、その期間そのものには合理性があるでしょうか。その業務が3ヶ月後になくなってしまうのであれば合理性はありますが、そうでないのであれば、期間の定めをもうけない方がよいでしょう。労働者は更新があるかどうかで不安にならずにすみます。

無理矢理に辞めさせないのはルール違反

労働者の方から労働契約を解約することを、退職(辞職)と言います。最近では、無理矢理な方法で退職させないブラックバイトが問題になっています。そのようなことがないようにしてください。


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