生活保護 | レインボーユニオン

生活保護

生活保護制度を正しく理解し、正しく利用しましょう。


申請前に、水際作戦撃退マニュアルをお読みください。

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生活保護の利用は、一般的に敷居が高いと思われています。 しかし、病気で働くことができなくなった、家庭内の事情で母子家庭になった、仕事がなくなって生活が苦しくなったなど、人生にさまざまなトラブルはつきものです。 誰にでも起きるトラブルが、たまたまあなたにふりかかってしまったのです。あなたが悪いのではありません。 生活保護は、国民みんなの「保険」です。生活に行き詰まったら、生活保護を利用して、あなたとあなたの家族の生活を立て直し、次の一歩を進んでください。

まず相談から

本来、生活に困ったときは役場で相談するものです。しかし、生活保護窓口の担当者によっては、まるで横柄な態度をとる場合があります。レインボーユニオンは、あなたの生活実態に合わせて相談に応じます。

生活保護を申請するための準備と方法

人として生まれてからの私たち

私たちは、生まれてきた瞬間から、生きることに一生懸命です。不幸せになろうと思って生まれてくる人はひとりもいません。しかし、人は人どうしのつながりの中でしか生きられない弱い存在です。私たちを取り巻く環境は、常に最良ではありません。

成長するにつれ、人生はその人特有の物語になっていきます。しかし、常にハッピーエンドではありません。途中に落とし穴がたくさんあります。どんなことが起きようと、時間を巻き戻すことはできません。

それぞれの人の人生が交差するとき、生活に困った人がいれば、私たちは互いに助け合います。助け合うことは素晴らしいことです。もちろん、助ける側になることもあれば、助けられる側になることもあります。それも、常に助けられているだけではありません。

この国に生きる人はすべて、買い物をするとき消費税を納めます。私たちがこの国の主人公ですから、この社会を維持するための費用を全員が負担しています。その税金を困っている人に使うのか、そうでないところに使うのか、どちらが正しい選択でしょうか。

生活保護という制度は、私たちが私たち自身を支えています。だれもが生活を保障されることは、基本的人権の一つで、これは侵すことのできない永久の権利として与えられたものです。利用できるときは、躊躇せず、この制度を利用しましょう。また、他の人も、みなさんと同じ権利を持っていることを忘れてはなりません。この社会全体の幸福になるよう、基本的人権を守っていきましょう。

生活保護を正しく理解、正しく利用

健康で文化的な最低限度の生活

生活保護と聞いたとき、本当に最底辺でみすぼらしい生活を想像しないでしょうか。

憲法では、単に「最低限度の生活」ではなく、「健康で文化的な最低限度の生活」を保証しています。

健康で文化的とは、時代によって変わるかもしれませんが、社会福祉というものは、常に向上させるものであって、歴史を後退させるようなことは許されません。

仕事をしながら生活保護を利用できます

生活保護は、仕事をしながらでも利用できます。なぜなら、生活保護制度で保障される最低生活費の金額より、収入が少ないとき、その差額が支払われるためです。これを「補足性の原理」といいます。

収入と保護費の関係

現在の最低賃金の水準は、あまりにも低すぎます。そのため、一生懸命働いても、最低生活費より低い収入となることが起きます。

病気になって医療費がかかることもあります。それも考慮したとき、収入が最低生計費を下回れば、生活保護を利用することができます。

なお、仕事をしていれば当然、必要経費が発生します。この必要経費の金額は、収入額から控除されます。したがって、仕事をしている方が手取りは多くなります。

生活保護制度とは、必要最低限度の生活費を支えつつ、自立できるように応援してくれる制度です。

生活保護は、ただ最低限の生活を支えるだけでなく、そこからの自立をどうしていくか、担当者がともに設計する制度です。「生活保護を受けると仕事ができなくなる」というのは、まったくのでたらめです。会社に知られることもありません。

自立とは

「自立」とは、「他の援助を受けずに自分の力で身を立てること」の意味ですが、生活保護で使われる「自立」とは、「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」の意味として用いられています。

一日も早く就労して、自分の力だけで生活し、生活保護を利用しなくていいようにするというような意味ではありません。

生活保護の誤解を解く良書をご紹介します

だれでも利用できます

生活保護制度は、この国に生きる人であれば、だれでも利用できる制度です。

大昔、「男は怠けるから、女は浪費するから」と貧困を個人の責任と考えていました。個人の責任だとするならば、生活保護のような制度を利用させることに憤りを感じるでしょう。もちろん、これは正しくありません。

貧困は、私たちを取り巻くいろいろな出来事から偶然生まれます。ですから、生活保護が誰でも利用できることは、当たり前のことです。これを「無差別平等の原理」といいます。

世帯単位で

生活保護は、世帯単位で適用されます。この世帯とは基本的に、同じところに住み、生計の手段が一緒の人たちを指します。

水際作戦は許さない!貧困は血縁関係の中だけで解決するものではありません
「親きょうだいなどの親族からの援助をしてもらいなさい」「遠い親戚にまで連絡をします」と言って、申請させない水際作戦は絶対に許されません。夫婦や未成熟の子どもに対する親以外の親族の場合は、具体的な援助の金額や方法は当事者間での協議で決めるべきものです。また、夫婦とはいえども、ドメスティック・バイオレンス(DV)のような状況であれば、連絡することそのものが不適当です。生活保護制度は、親族だけが支えるのではなく、国民全員で互いに支える方法に進化させたものと理解しましょう。

他の制度を先に活用

生活保護は、他の制度をすべて活用して、それでも不足する金額やサービスを補うことが基本です。これを「他法他施策の優先」といいます。年金や介護、失業手当などの制度がよくわからない場合は、生活保護の窓口に聞きましょう。

介護保険料を支払うと生活保護基準以下の生活しかできなくなってしまうといった場合は、境界層措置制度といって介護保険料の減免などを行えることになっています。介護保険だけでなく、そのほかの制度でも同様の制度が使える場合がありますので、負担が重く生活が苦しい場合は相談するようにしましょう。

福祉制度の関係窓口にいるからといって、その人は福祉制度のスペシャリストでない可能性もあります。役所の中の人事異動のスピードが上がり、回転が速くなっているためです。そのため、どんな場合でも「生活保護の窓口に聞いてもらえれば」と生活保護窓口に回すような人もいます。さらに、生活保護の窓口にいるからといって、生活保護担当の経験が長いとは限りません。

親族の助けがなくても利用可能

生活保護は、他の制度を先に活用しますが、親族の援助を得られなくても利用することが可能です。

生活保護の申請をしようとすると「親族に連絡します」といって、親族に対して援助してもらえないか照会しようとします。もし、援助できる親族があれば、その援助を受けてもかまいません。しかし、たいがいの人は、親族といえども十分に援助してくれることは難しいでしょう。

親族の援助を受けないと生活保護を利用できないかのように言う担当がいます。しかし、それは誤りです。

場合によっては、長らく連絡が取れていない、複雑な家族関係、虐待を受けていたなど、扶養照会を行うことが望ましくない場合があります。事情を話した上で、理解を求めると同時に、申請を諦めないようにしましょう。

なお、援助と言っても、金銭だけではありません。親戚づきあいをしてくれる、電話で連絡をくれる、通院の付き添いをしてくれる、一時的に子どもを預かってくれる、住居を提供してくれるといったことも援助に当たります。

この扶養照会を行って、現に扶養してもらえる割合は、1%にもなりません。広く扶養照会を行うことは、やめるべきでしょう。

持ち家や自家用車を保有していても生活保護を利用できます

生活保護を利用し始めたら、持ち家に住めない、自家用車は処分しなくてはいけないという誤解があります。

周囲の家庭に比べて非常に豪勢だったり、資産価値の大きな家でなければ、その持ち家に住みながら生活保護を利用することが可能です。どのぐらいの資産価値ならば売却するのかは、基準で決まっています。いずれにせよ、持ち家があっても生活費が手元になければ大変なことになるのです。たとえば、生活保護を利用→自宅を売却→売却したお金から返却というような方法もあります。すみやかに生活保護担当の窓口に相談しましょう。

自家用車は職場に通うために必要な場合の利用や、失業中も求職活動やその後の就職のために一定期間、保有することが認められています。その地方、その家庭なりの事情があります。一律に自家用車を手放さなくてはならないものではありません。

注意!自家用車の「保有」と「使用」が異なることを理解してください。つまり、持っていることと、使うことは違います。たとえば、自分の自家用車を他人に貸すケースや、他人の自家用車を運転するというケースがあります。自家用車の場合は、「保有」と「使用」を混同して考えてはいけません。

特に、新潟では自家用車でなければ通えない職場も多いですし、世帯によっては子どもの送り迎えをしてから職場に通うことも考えられます。自家用車なしで交替制勤務のある職場への就職はまず無理と言っていいでしょう。 しかも、今は一家に一台から、一人一台と言われるほど自家用車が普及しています。自家用車を処分してしまっては、逆に仕事ができなくなり、自立することも生活することも大変困難になります。 仕事以外でも、生活上の支障を来します。郊外型の小売店が増えたため、自家用車がないと買い物難民となります。

借金やローンの扱い

生活保護は最低限の生活の金額を保障するだけです。ですから、基本的に保護費から借金やローンの返済はできません。税金の滞納を除いて、基本的に借金やローンをそのままの状態にしては、生活保護を利用できないと考えてください。

したがって、借金がある場合は自己破産の手続きをすすめることや、住宅ローンの残っている住居を保有している場合は競売にかけたり、賃貸住宅として貸し出して収入を得るといった方法を選択することになります。当然、これらの方法が完了するまで待っていられませんから、これらの手続きを行う意思を示すことと同時に、生活保護の申請を行います。借金やローンの整理はとても心配ですが、そんなときのためのケースワーカーでもあります。どんどん質問しましょう。

生命保険や学資保険は、貯蓄性があるかどうか

生命保険や学資保険等は、すべて解約しなければならないという誤解があります。

たしかに、資産性のある保険は、生活保護を利用するにあたり解約して資産を活用するように求められることがあります。ですが、すべて一律に解約させたら、将来が不安になるでしょう。

たとえば、子どもの将来を考えて、学資保険を積み立てていて、それを高校の授業料や大学の受験料などに充てる場合、使用目的は生活保護の趣旨に反しません。一律に解約する必要はなく、保護開始後は、保護費からやりくりして保険料を支払っていくことは可能です。

生命保険は、解約返戻金が少なく、保険料額も多くなく、世帯を支える目的なら、解約する必要はありません。

当然、火災保険や傷害保険のような、危険に対する対策を目的とするものも全く問題がありません。

どのようなケースで解約しなくていいか、ケースワーカーに尋ねてみましょう。

支払いが免除されます

生活保護を利用していると、保育料や税金、国民年金保険料、NHK受信料などが減免されます。このほかにも市区町村の実施しているバスや電車の無料乗車証の支給など「法外援護」という制度があります。詳しくは、保護担当窓口で教えてもらいましょう。

  • 固定資産税、住民税
  • 国民年金保険料
  • 医療費
  • 保育園の保育料
  • NHK放送受信料
  • 水道料の基本使用料
注意! 新潟市では2010年6月まで、上下水道の基本料、使用料とも無料とする法外援助が行われていました。しかし、その後改悪され、一般世帯並みの徴収になりました。これは、首長や市議らが福祉に手厚い政治を行うかそうでないかによって決まることです。改悪を許さず、改善させるためには、私たち市民が政治に関心を持ち、積極的に関与することが必要です。

申請は一番近い福祉事務所へ

生活保護を申請するには、まずお住まいの役場の窓口を訪ねてください。住まいを失っていて現住所がない場合や住民票を移していない場合でも、一番近い役場へ行きましょう。申請受付の窓口は「福祉事務所」と言いますが、まずは市町村役場へ行きましょう。

生活保護担当窓口へ行き、「生活保護の申請をしたい」と告げてください。

注意!窓口において相談だけで終わらせようとする水際作戦は、絶対に許されるものではありません。申請すれば要件を満たすかどうかは適正に判断されるわけですから、申請をさせないということは絶対にあってはならないことです。「必要書類をそろえてくるように」「家に持って帰って書いてくるように」と言われても、申請書だけは必ずその場で書き、今日付で提出しましょう。保護が開始される場合は、その申請日からになるためです。
  1. 面談・申請

    担当者による職歴、生活歴等の聞き取りがあります。生活保護を取り扱う窓口で、生活保護の申請を行います。 ただし、生活保護の利用に際して、過去に何があったかを問う必要はありません。生活保護を利用しようと思ったきっかけ程度の話で十分です。

  2. 調査

    担当者による訪問、資産の調査などが行われます。

    調査のために次のような書類があると、判断結果が早くなる可能性がありますので、揃えられるものは揃えましょう。

    • 銀行などの預金通帳(申請日以降に記帳しておくと、残高がわかって便利です)
    • 年金、児童扶養手当など公的扶助の書類
    • 健康保険証、介護保険証、障害者手帳など
    • アパートや借家の場合、賃貸借契約書(家賃の支払い状況がわかるもの)
    • 通院中の場合、医療費のわかるもの
    • 就労中、離職間もないときは給料明細
    • 自動車を保有している場合は、車検証、自賠責保険証等
    • 光熱水費を滞納していれば、その状況のわかるもの

    ただし、これらの書類がなくても、生活保護の申請は可能です。

    また、決定まで少し日数がかかります。その間の生活費はどうしたらいいか、担当者に必ず尋ねてください。生活福祉資金の貸付を利用するなどの方法が考えられます。

    また、生活に必要な物品がそろっていない場合も考えられます。衣類、家具や電化製品など一時的に必要となる購入費用についても求めましょう。

  3. 決定

    申請から14日以内(やむを得ない場合は最長30日以内)に決定がなされます。生活保護が開始される場合は、申請日にさかのぼって保護費が支給されます。却下された場合は、その理由の書かれた通知書を受け取り、場合によって不服審査請求を行うことができます。

不服なら審査請求もできます
申請が却下されたような場合でも、行政不服審査法に基づく不服申し立て(審査請求)が可能です。審査請求は、「処分を知った日」の翌日から60日以内に都道府県知事に審査請求書を出します。審査請求書には、本人と代理人、行政処分の内容とその処分を知った日、審査請求ができる旨の教示の有無、審査請求の趣旨と理由、口頭意見陳述を希望するかどうかを記入します。直接、都道府県でも市区町村を経由して行うこともできます。

受給できる金額

国の決めた基準より少ない収入の世帯に、国がお金などを足して、国が決めた最低基準の生活を保障します。

まず、住んでいる場所(または現在地)によって「級地」が決められます。次に、年齢に応じた個人消費、世帯人数に応じた世帯消費が加わり、障がい者やひとり親家庭などに加算が加わります。必要に応じて住宅費や医療費が加えられ、最低生活費を計算します。

現実には、都市部と周辺部では必要な生活費はそれほど大きな差がなくなっているものと思われます。現在の生活保護基準は、消費水準の平均との比較で決められています。この場合、社会は進歩しているのに、格差が広がり低所得者層が増えると、なおいっそう生活保護基準が引き下がり、さらに格差を拡大させる悪循環が生じます。この基準が本当にその時代における「健康で文化的な最低限度の生活」を維持できるのか、常に問わなければなりません。

新潟県の級地区分

2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
新潟市 長岡市 上越市、三条市、柏崎市、新発田市、小千谷市、加茂市、十日町市、見附市、村上市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、佐渡市、魚沼市、湯沢町、刈羽村 阿賀野市、胎内市、南魚沼市、粟島浦村、関川村、聖籠町、阿賀町、弥彦村、田上町、津南町、出雲崎町

家賃が高いとき住宅扶助の上限額を超える場合は保護を受けてから引っ越し

アパートに住んでいる場合、家賃は生活保護の住宅扶助費から支給されます。住宅扶助の上限金額は、級地と世帯人数で決定されます。

もしも上限額より高いアパートに住んでいたら、上限額を超えた分の家賃は生活扶助から持ち出しになります。したがって、生活保護を受けた後に、家賃の低いアパートに引っ越しをしましょう。その際の引っ越し費用や敷金等は基本的に生活保護費から支給されますので、いくら支給されるのかは生活保護担当者に相談しましょう。

連帯保証人がいない単身者などに対して、露骨に嫌な顔をして、事情を理解しない不動産屋がないわけではありません。しかし、住宅扶助額を超えた生活が続くことは、生活を圧迫し、自立を妨げることですから、大変よくありません。ケースワーカーともよく相談して、家賃が住宅扶助基準内に収まるようなアパートを早く見付けられるようにしてください。

生活保護を利用しても差別扱いは禁止

「選挙権がなくなる」といった誤解がありますが、そんなことはありません。生活保護制度の活用は、国民の権利です。申請に至る経過など過去にどのようなことがあったのかは利用できるかどうかとは無関係です。

ただし、暴力団員であるといった場合は、生活保護の要件を満たさないとされます。過去に暴力団と関係があった場合はきちんと申告し、現在は暴力団と無縁であることや、あるいは暴力団から抜けたいことをあらかじめ伝えてください。

注意! 警察OBを配置する保護担当窓口が出てきています。しかし、生活保護の申請は、権利であり、かつ、要件を満たせば利用できるものです。申請者が窓口で暴れるといった対応はよくありません。しかし、正しく申請し、事情をきちんと説明しているにもかかわらず、高圧的な対応を取ってくる場合は、窓口側の間違った対応です。こびる必要はありません。誠実に対応しているにもかかわらず、おかしな対応をされた場合は、レインボーユニオンにご相談ください。

収入は報告義務があります

収入額が変わったときは、速やかに担当者に報告する必要があります。これは支払われるべき金額が支払われなかったり、逆に不正な受給を防ぐためです。これにともなって、就職した、失業したなども報告するといいでしょう。

障害年金を受給したり、子どものアルバイトの収入を申告しなかったために、「不正受給」扱いされることがあります。生活保護世帯の全員がどのような収入があったか正しく申告しましょう。学生バイトとはいえ、生活費や学費を稼ぐためです。自立するためには必須ですから、収入を隠すのではなく、そのことをきちんと申告しましょう。

労働者の労働組合費は必要経費

働くために労働組合に加入することは当然です。生活保護を受けつつ、働いている場合、レインボーユニオンへの組合費は必要経費として控除されます。

レインボーユニオンへ組合費を積み立てたことについては、必ず担当に届けてください。

労働組合費は、収入から差し引かれる必要経費です。たとえば収入がゼロだった場合は、控除対象とはなりません。

生活保護費

健康で文化的な最低限の生活を支える生活保護費は、これらを加えたものです。

生活扶助

個人の生活費にかかる1類(飲食費や被服費など)、世帯の生活費にかかる2類(光熱水費、家具什器費など)、冬期加算、期末一時扶助。

教育扶助費

義務教育に必要な学用品、通学用品、給食費、学校指定の教材、夏季施設参加費など。

住宅扶助

地代や家賃、転居にともなう権利金、敷金や礼金、住宅補修維持費、更新料など。住居補修維持費には、畳や扉、ふすま、風呂など住居に必要なもの、雪囲い・雪下ろしの費用など。

医療扶助

診療や薬剤、治療材料、処置、治療、手術、入院、看護、移送などに必要な費用。福祉事務所が発効する「医療券」を病院の窓口に出して医療を受ける。

出産扶助

分娩料、もく浴料、衛生材料費など。

生業扶助

生業を営むのに必要な資金や器具・資材の購入費、技術習得費(高等学校等就学費を含む)、就職支度金など。

葬祭扶助

葬式を行うときの死亡診断書や検案、遺体の移送、火葬、埋葬、納骨などの必要な費用。

介護扶助

介護保険の65歳以上の利用料の1割、40歳以上60歳未満の利用料全額、65歳以上で年金からの天引きのない人の介護保険料など。

ここでは、新潟市(2級地-1)を例に挙げます。

自民党政権は2018年9月4日、最大5%の生活扶助基準の引き下げを始めました。3年の経過措置があるため、計算が複雑になります。そもそも、根拠のない引き下げは、極めて政治的です。私たちの取り組みによって、こうした不利益をなくすように努力しましょう。

生活扶助基準(2023年10月基準)

基本的な生活費は、生活扶助基準です。一人あたりにかかる金額が第1類、一世帯あたりにかかる金額が第2類です。なお、第1類には世帯人数に応じた逓減率を乗じます。

新潟市の第1類(月額)

0歳から2歳
41460円
3歳から5歳
41460円
6歳から11歳
43200円
12歳から17歳
45820円
18歳から19歳
43640円
20歳から40歳
43640円
41歳から59歳
43640円
60歳から64歳
43640円
65歳から69歳
43200円
70歳から74歳以上
43200円
75歳以上
37100円

1人
1.0000
2人
0.8700
3人
0.7500
4人
0.6600
5人
0.5900
6人
0.5800
7人
0.5500
8人
0.5200
9人
0.5000
10人以上
0.5000

新潟市の第2類(月額)

1人世帯
27790円
2人世帯
38060円
3人世帯
44730円
4人世帯
48900円
5人世帯
49180円

冬季加算

冬場の暖房代です。全国を寒さによって6つの区分に分け、新潟県は2番目の寒さの区分(Ⅱ区)です。

北海道、青森、秋田 岩手、山形、新潟 宮城、福島、富山、長野 石川、福井 栃木、群馬、山梨、岐阜、鳥取、島根 その他
10月から4月 10月から4月 11月から4月 11月から4月 11月から3月 11月から3月

新潟市の冬季加算(月支給)

1人世帯
8860円
2人世帯
12580円
3人世帯
14290円
4人世帯
15440円
5人世帯
15860円

その他に、医療、介護、教育、就労などに関する扶助があります。母子加算、障害者加算、介護施設入居者加算、在宅患者加算、放射線障害者加算などの加算もあります。

なお、最新の制度と金額については、福祉事務所にお尋ねください。ケースワーカーによっては思い違いをすることもあるので、日を取って調べてもらうといいでしょう。

知らないとだまされる!生活保護に関する政治家のウソ!

生活保護の金額は高くありません

「生活保護の金額が高すぎる」「生活保護よりも低い収入で生活している人もいる」と言いふらす政治家がいます。その政治家の目的は、福祉にかける国家予算を削り、別のこと-たとえば公共事業-にばらまき、その見返りとして企業から政治献金を受け取りたいと考えているからです。

生活保護の金額よりも低い収入で生活している人もいることは事実です。しかし、それはいまの生活保護制度では何かあったときのための貯蓄らしい貯蓄ができない、自家用車の使用が制限される、老後が心配になるほど貧弱な福祉制度でしかない、福祉担当者の態度が横柄で嫌な思いをさせられるなど、それに対してただ我慢しているだけです。

これは、政治がきちんとしていない責任を国民に押しつけているだけです。

実際に計算すればわかりますが、生活保護の金額は決して高くありません。

生活保護で贅沢はできません

「生活保護を受けているのにいい車に乗っている」と言いふらす政治家がいます。

前述の通り、自家用車の使用は制限されています。また、就労のための必要な控除のうち、自家用車の修理(職場への交通費、ワイパーの交換など)といった最低限の補修は認められます。したがって、その人は自家用車を使用することを何らかの理由で保護担当者が認めていると考えられます。

そもそも金額を見れば、ささやかだということは理解できるでしょう。しかも、その中から、衣服や家具、家電製品の買い換えなど、保護費を使い切らず、いざというときの出費に備えて、貯金するように言われます。

家族や地域に養わせる義務はありません

「生活保護を受ける前に家族や地域が養うべき」と言いふらす政治家がいます。

前述の通り、親族が最後の最後まで養わなければならない義務はありません。自らの生活を壊さない程度に支援すればよいのです。たとえば毎月、生活費を送ることはできなくても、季節によっては食べ物を差し入れたり、入院するときの保証人になるといった協力はできるのです。

夫婦間の暴力で逃げ出してきた場合や、親子が絶縁状態にある、親が未成年の子どもを養っていけない場合など、人間誰しもさまざまなケースがあります。ですから、あらかじめ文字にして細かなことが決められないのです。援助をどう考えるかは、その人ごとに応じて決めることとなります。

また、孤立死を防ぐために見守りなどのとりくみは進められていますが、地域が養う義務は当然ありません。

生活保護は、家族や地域が養えなければ餓死するしかないような時代から、国全体で支えるというふうに発展させて、より安定的な安心と保障をつくりだした制度です。その枠組みを家族や地域に狭くしようという考え方は、とても危険です。そういう政治家は、やはりいのちの安全や安心を別のところで使いたいと考えているのでしょう。

貧困ビジネスに注意!

生活保護を受けさせるといって、保護費をピンハネしたり、入居料や食費として多額の費用を請求していつまでも自立させない、狭い部屋に押し込んで法外な利益を得る脱法ハウスなど、貧困ビジネスは大問題です。

場合によっては、ホームレス状態の人が生活保護の申請をしたとき、面談担当者がそのような貧困ビジネスの低額宿泊所を利用させようとすることがあります。利用したくないときは、はっきり断りましょう。断ったからとしても、申請できます。

法から読む生活保護 生活保護法

生活保護への偏見が多く、「国の世話になりたくない」「生活保護を受けるのは恥」と思っている人もいます。しかし、生活保護法に書かれた基本を読み、生活保護制度の理念を理解してください。生活保護は、ただ救済するだけの制度ではないのです。

生活保護の目的

生活保護法第1条のとおり、「この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」とされます。憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を具体化した法であり、最低生活を保障することと、自立する援助をすることを目的としています。

無差別平等

第2条「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる」として、要件を満たせば誰でも生活保護制度を利用できるとしています。

逆に言えば、生活保護法から排除される人はいないのです。

最低生活

第3条「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」として、ただ食べて寝るだけの生活ではなく「健康で文化的な生活」としています。

要件と優先

第4条1項で「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」として、生活保護を受けるためには、そこに至る経過や扶養親族の有無などに関わらないこととされています。

ただし、第4条2項で「民法 (明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」として、他の法律を優先して利用することや、扶養親族からの扶養は優先されるものとして、それでもなお足りない部分を生活保護制度から補足するものとしています。

水際作戦撃退マニュアル

生活保護を受給できるかどうかは、福祉事務所が「基準」に基づいて判断します。

しかし、申請させずに「相談」という形を取って追い返すことを「水際作戦」と呼び、過去にはそのために餓死者が出るといった痛ましい事件も起きています。生活保護の申請そのものは誰でもできますので、「水際作戦」にであったら、すぐにご相談ください。

生活保護の相談ですか?

相談と申請に来ました。

若い人は申請できません。

年齢は関係ないはずです。

住所のない人は申請できません。

住所がなくても現在地の役所で申請できます。生活保護は住所が受けるものではありません。人間が受けるものです。

働ける人は申請できません。

収入がないとか働ける場がない場合は申請できます。私は働く意思はきちんと持っています。

健康な人は申請できません。

健康でも生活に困っているから申請に来ました。生活に困っているから申請に来たんです。

自家用車を処分しなければ申請できません。

それは申請を受けてから判断してください。自家用車を手放した場合には不安があるので、どうしたらよいのか相談に応じてください。

申請書は渡せません。

それは申請権の侵害です。法律違反です。あなたの名前を教えてください。そして上司を呼んでください。

働ける人はまずハローワークへ行ってください。 

ハローワークにはこのあと行きます。その前に生活保護の申請をします。順序は関係ありません。

あなたは生活保護に該当しません。

それは申請してから調査の上で判断してください。

今日は申請者がたくさんいるので明日来てください。

申請書だけ書いておいていきます。では申請書をください。

たくさん書類があるので、帰って書いてきてもいいですよ。

申請書だけ書いておいていきます。他の書類は後日までに用意しておきます。

ホームレス緊急保護センターに入所してもらいます。

保護センターを希望していません。生活保護の申請をします。

申請してもすぐには決定できません。

14日以内に決定することは知っています。生活に困っているので早く決定してください。所持金もないので、それまでの生活費の貸し付けをしてください。

あなたは××市に住んでいたのですから、そちらで申請してください。

以前のことは関係ないです。現在地のこの役所で申請できるはずです。

電車賃だけ差し上げますから、××市で申請してください。

お断りします。現在地のこの役所で申請できるはずです。

アパートにはすぐに入れませんよ?

とりあえずアパート入居費用を申請して待ちます。それから判断してください。

ホームレスの人は施設に入ってもらいます。

どんなところか詳しく教えてください。もしかして貧困ビジネスをやっている団体ですか? 入所者が逃げ出すようなことはありませんでしたか?

申請に友人の同席はちょっと困ります。

私が同席してもらいたいので、してもらいます。聞かれて困るようなことはありません。何か都合が悪いですか?

窓口で逆ギレする必要はありませんが、一方、担当者に対して卑屈になる必要もありません。生活保護を利用することは、私たちの権利です。冷静に応答しつつ、おかしいことはおかしいとはっきり伝えましょう。ひとりで対処することが難しいときは、各地に支援団体は必ずありますので、諦めずに探してください。
相談受付中!

生活に困らないように、困ったときにそこから抜け出せるように、私たちと一緒に活動してみませんか。私たちの生活の苦しさの生の体験から、いろいろな取組を行っています。ぜひご相談ください。

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