アルバイトで働く前に、最低賃金について理解しておきましょう。自分の給料(賃金)が最低賃金のルールから逸脱していないか確認しましょう。
また、給料明細をよく見たことがないと言う人もいますが、何が支給され、何が控除されているのか、よく見てみましょう。
最低賃金制度はアルバイトも適用される
賃金には、低下する圧力が加わっています。使用者より労働者が多く、労働者の方が弱い立場に立たされているからです。このままにしておくと、労働者は生活ができません。
また、一部の会社が不当に低い賃金で働かせると、会社間の公正な競争を妨げることになります。
そこで、最低賃金制度があります。これよりも低い賃金にならないようにするための仕組みです。
学生バイトやパートタイマーのように、家計補助的な働き方であれば、最低賃金よりも下回ってもいいでしょうか。
それだと、そうした労働者がいるために、家計を主として支える労働者の賃金も上がらなくなってしまいます。
最低賃金制度は、アルバイトでも適用されます。最低賃金法4条は、会社が人を雇い際、働く人に対して最低賃金以上の賃金を支払うことを義務づけています。この法律は、雇用形態に関わらず、すべての働く人に適用されます。
最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。
地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められ、働く場所がどこかによって金額が異なります。特定最低賃金は、産業ごとに定められた最低賃金で、地域別最低賃金より高い場合は、特定最低賃金の金額が適用されます。
自分の働く職場の最低賃金がいくらなのか、知っておきましょう。
最低賃金と比較しよう
自分の賃金と最低賃金額を比較してみましょう。
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(一時金、ボーナス、賞与など)
- 時間外割増、休日割増、深夜割増
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
最低賃金額は時給で表されます。そこで、時給で働く人は、その金額と比較すればいいことになります。
○時給≧最低賃金額
日給で働く人は、日給を所定労働時間で割り、最低賃金額と比較します。
○日給÷所定労働時間≧最低賃金額
試用期間中でも
働き始めると、試用期間として扱われることがあります。その際、時給も低くされることがあります。
基本的には、試用期間中でも最低賃金額よりも低くなってはいけません。
ただし、減額特例制度という試用期間中に減額することのできる制度はあります。しかし、都道府県労働局長に届け出て、その許可が必要です。つまり、会社独自の判断で最低賃金額よりも低い金額で働かせるのは違法です。まず、この減額特例制度が適用されているケースはありません。
最低賃金より低かったら
もしバイト先が最低賃金よりも低い金額で働かせている場合、最低賃金法に違反しています。
特に、宿直など、届け出さえ出していれば最低賃金額よりも下回る金額が許可される業務もありますが、届け出を出していない事業主もいます。こうしたケースも注意すべきでしょう。
毎年10月頃に地域別最低賃金は改定されています。改定した際に、自分の時給を追い越すこともあります。このような場合、最低賃金法では、賃金は最低賃金額と同額に読み替えると定めています。
まず、労働基準監督署に申告しましょう。その前に、使用者に請求しておくと丁寧です。
具体的には、給料明細やタイムカードなどがあると確実です。もし、なければないでしかたありませんので、メモでも結構です。労働者側から申告すれば、賃金台帳やタイムカードは、使用者側が整理して持っているはずです。それをもとにして計算すればいいだけのことです。
また、匿名での相談も可能です。自分が相談したことを職場に知られたくないときに、少しでも職場の問題をなんとかしたいと思うのであれば、こういう方法もあります。ただし、匿名は、あくまでも匿名の弱さがあって、労働基準監督署は、誰から相談があったのか事業主に言えませんから、調査も弱くなります。
労働組合に加入して解決する方法もあります。会社に労働組合はなくても、地域で活動するユニオンがあります。にいがた青年ユニオンもそうした労働組合の一つですが、労働組合に加入すれば、会社と団体交渉できます。会社が最低賃金法に違反しているのであれば、必ず解決できます。お住まいの地域にも、いくつかユニオンはあるはずなので検索してみてください。
賃金の手取額
賃金支払日に、実際に銀行口座に振り込まれる金額を「手取額」などと呼びます。これは会社から支払われる賃金総額から税金や社会保険料を控除した金額です。
そのため、思ったよりも少ない、こんなものかなあと感じたことはありませんか?
総支給額
総支給額の内訳には、いろいろなものがあります。
- 基本給
- 残業手当
- 資格手当
- 役職手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 住宅手当
これらは会社によって異なります。
控除額
控除、つまり賃金から天引きされるものです。
- 雇用保険
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金
- 住民税
- 所得税
このほか、社宅に住んでいると家賃が引かれたり、食事代が引かれたりすることがあります。
だいたい、総支給額の8割程度が手取額になります。
残業代の基礎賃金
残業代は、「残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率」で計算できます。1時間あたりの基礎賃金はいったいいくらでしょうか。これは、基本給とは同じではありません。
基礎賃金は、最低賃金と比較したときと同じように計算されます。したがって、固定残業代が含まれるようなケースでは、基礎賃金が低くなります。
基礎賃金が高いほど、残業代は高くなりますから、固定残業代が含まれる場合は気をつけましょう。
不利益変更は一方的にできない
賃金は、基本給であれ、各種手当であれ、雇用契約や就業規則で決められています。つまり、労使間の約束事です。会社はそれを労働者が不利益になるように勝手に変えることはできません。
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
労働契約法8条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
労働契約法9条
給料明細は大切な書類です。最近ではWeb化している会社も増えてきましたが、確実に手元に保管しておきましょう。少なくても、その会社を辞めるまで保管しておくことをおすすめします。
困ったことがあれば、専門家に相談しましょう。にいがた青年ユニオンは、そうした相談を受け付けている労働組合です。会社に労働組合がない労働者のための労働組合です。ぜひご相談ください。
アルバイトで働く前に給料の仕組みを理解しよう
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