退職勧奨に応じないための対策法

少し会社の業績が悪くなると、人件費を少しでも減らそうとして、労働者をクビにすることを考える経営者はたくさんいます。業績がよくないのは経営者が進む道を間違えたというのに、そのしわ寄せを労働者、特に立場の弱い非正規労働者に押しつけようというのです。

しかし、「キミは解雇だ」と言ったらどうなるか不安なために、なんとかして自発的に辞めさせようと考えるのです。

そうなると、何も悪いところはないのに、退職勧奨を受けるこちらとしては、たまったものではありません。

そんな退職勧奨に対してどんな対策法があるか、学んでみましょう。

暴力や精神的な攻撃、仕事取り上げなどのパワハラのとき

まず、相手方の立場に立って、何をしたいと思っているか想像してみましょう。

自分から辞めさせたい訳ですから、いじめるわけです。方法としては、暴力を働く、机をたたいて大きな音を出す、陰口を言いふらすというようなものが考えられます。業務に関連したものなら、仕事を取り上げてほとんど何もさせない、慣れない部署に異動させるというものがあります。

これらは、パワーハラスメントです。ですから、パワーハラスメントに対抗する方法を採りましょう。

まず、そのことを嫌だときちんと言うことです。私たち労働者は、あくまでも労働力を売っているのであって、人格を売り渡してはいません。

一人で抱え込まず、誰かに話をしましょう。同僚だって、そんな職場で働きたくはないはずですから、いろいろな同僚に話をしましょう。家族や友人に話すのもいいでしょう。私たちのような労働組合に相談してもいいでしょうし、弁護士の法律相談に行ってもよいでしょう。

つらい状態を何もせずにじっと受け止め続けるのが、一番つらくなります。

退職勧奨で誘導されるとき

上司が辞めてくれと言ってくるケースもあります。

「会社の売上げが下がっているのはわかるだろう? 悪いが辞めてもらいたい」というようにストレートに言ってくるケースもあれば、「キミの業績はこの中で一番よくない。このままでは人生に差し障るのではないかな」と遠回しに言うケースもあります。

どちらのケースも、直接に解雇と言わず、退職勧奨を行って辞めるように誘導しています。

この場合は、上司との面談があるわけですから、とりあえず「この会社でがんばります」と返します。当然、切り返しが来ますが、「どこが悪いのか教えてください」、「みんなと心を一つにしてがんばります」など適当に答えてみてください。

たぶん、そうやって答えても、実は、向こうには無限に質問が用意されています。退職勧奨というのは、そういう仕組みになっているのです。だから、答えを真面目に探さないことが正解となるのですが、その話はもう少し後で。

録音しよう!メモしよう!日記をつけよう!

退職させようとしているなと思ったら、まず、ICレコーダーを用意しましょう。当面はスマホの録音機能でもいいでしょう。いつ言われるかわかっているときは、そのときでいいでしょうし、いつ言われるかわからないときは、勤務開始からずっと録音してください。

本来、隠し録音はよくないのですが、この場合は、身を守るためですので、その範囲で利用してください。

録音できないケースもあります。とっさのことだったり、機器類を身につけて仕事のできない場合です。その場合でも、その場ですぐにメモが取れるようにしておきましょう。ICレコーダーには、ペン型のものも販売されていますので、それを用意してもいいかもしれません。

自宅に帰ったら、日記をつけてください。ICレコーダーの音声は、あまりにも時間が長いので、他人に聞かせるわけにいきません。メモもその場で書いたものですから、あとから何があったか忘れることがあります。デジタルデータはあとから相手方が「加工された可能性がある」と難癖をつけてくることがあります。その日一日、何があったか整理して書いてください。

ボールは打ち返さない

退職させようとしてくる相手は、そもそもこちらにとって強い立場の人ですし、辞めさせようという思惑をもっています。

向こうが投げてくるボールに対して、まともに向き合って打ち返す必要はありません。

パワーハラスメントしてくる相手に対して、自分も相手と同じ立場に立つ必要はありません。パワハラは、行為者がよくないことをしているのですから、嫌だと明確に拒否する、周囲に話すということだけをしましょう。とにかく、受け止めて一人で抱えてはなりません。

しばらく一人で抱え込んでしまってから相談に来る方もいますが、その場合は、病院へ行き体調を整えつつ、職場からは一旦逃げて休職するといいでしょう。この場合、職場を辞めたくなるはずですが、結論は急がないでください。

とにかく、相手のボールは打ち返してはなりません。

退職勧奨の場合は、どうせ無限にボールが投げられてきます。ですから、この場合もボールを打ち返してはなりません。

退職勧奨の言葉が投げられても、基本的にはまともに答える必要はありません。あいさつだと思って、いくつか言葉を交わす程度にして、繰り返し同じことを答えるとか、あるいは、別のことを言って答えないようにします。

たとえば、「会社の売上が悪いんだ」と言われたら、「経営方針がまちがってたんでしょうかね」、 「キミの業績はこの中で一番よくない」だったら、「人事が間違っていたんでしょうかね」とでも答えてみましょう。

それも面倒になってくるころなら、その問いかけには答えなくても問題ありません。そろそろ退職勧奨が退職強要に変わっているからです。

退職勧奨をしたいと思った経営者は、その責任は誰にあると思っているのでしょうか。少なくても、労働者にはありません。退職勧奨は、こちらに非があるかのような質問を投げつけてきますが、それは正しくありません。

会社は、組織です。個人の能力を生かすための組織です。構成員一人ひとりにでこぼこがあるのは当たり前。何でもできるスーパーマンで構成されていません。

非があるのは経営者です。このことをはっきり言い聞かせて、洗脳されないようにしてください。

そして労働組合へ

なんにせよ、一人でたたかうのは心細いものです。そもそも、そうしたパワハラや退職勧奨が行われる職場というものには、労働組合がないか機能しておらず、労働者の集団の力が発揮されていません。だから、労働組合に加入する必要があります。

たとえば、私たちレインボーユニオンは、新潟を中心に活動する労働組合で、どこかの会社の労働組合ではありません。こうした労働組合は、全国各地にあります。もしかしたら、お近くの労働組合を紹介できるかもしれませんので、ぜひ相談してください。

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にいがた青年ユニオンとレインボーユニオン

2008年に誕生した労働組合。労働条件だけでなく、暮らしや健康問題にも強い関心を持つ。どこに住んでいても、どのような働き方でも加入できることから、2020年に「レインボーユニオン」に改名。にいがた青年ユニオンは、レインボーユニオンの新潟県支部になる。

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