こんなご相談です。
今の会社を退職します。有給休暇の残り日数が10日あったので、退職日から逆算して10日分をまとめて申請しました。そうすると、上司は「有給休暇が取れるかどうかは現場と相談してから決めます」と答えました。有給休暇は、そんなものなのでしょうか。
有給休暇は労働者の権利
年次有給休暇は、労働者がその取得日を指定すると、有給で休暇が取れます。これは、労働者の権利です。基本的には、労働者が申請すれば、会社はそのまま認めなければなりません。
時季変更権
会社には、いちおうですが時季変更権というものがあります。労働基準法第39条5項に「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」とされているものです。
ただ、これは会社全体の事業が妨げられるような状態であって、部署ごとの仕事が滞るようなことではありません。
たとえば、労働者が3人しかいない会社で、みんなが同じ日に有給休暇を申請されると、会社の事業が止まります。これが時季変更権が使えるケースと考えればいいでしょう。
ただし、この場合も取得日を変更させるだけであって、取得そのものをさせない権利ではありません。
退職日前の考え方
退職日前に有給休暇をまとめて取得することはよくありますが、申請の日から退職日までの勤務日すべてに有給休暇を指定したときは、会社は時季を変更することができなくなります。
また、勤務日すべてに有給休暇がはまっている状態でないとき、会社は時季変更権を使い、有給休暇の日をその中で動かすことはできますが、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。
退職日前になって、「引き継ぎをするのは社会人のマナーだ」だとか、「全部は有給休暇を与えられない」とか言ってくる会社もあります。有給休暇を与えないことのほうが、法に違反しており、マナー違反です。
日常から有給休暇が取得しやすい環境であれば、まとめて取るほどの日数は残らないはずです。会社側の自業自得と言えるでしょう。
休む権利は早めに対処
退職日になってもなお有給休暇が残っている場合、ケースによっては会社が買い取ることがあります。しかし、これは会社に買い取らせることを強制するものではありません。会社が買い取らないと言えば、それで終わりです。
有給休暇は、あくまでも休む権利です。
会社側と衝突している間に、退職日が来てしまってはどうにもできません。
普段から労働組合に加入して、そのようなことが起きないように予防しておくことが大切です。また、トラブルが起きたら直ちに対処しましょう。
レインボーユニオンのように、どの会社に勤めていても加入できる地域労組があります。ユニオンと名のっていることも多いので、それで検索してみてください。必ずお近くにもあるでしょう。
また、退職後の次の職場においても、同じことが起きる可能性はあります。今回の経験を元にして、ぜひ労働運動に飛び込んでみてください。
退職前にまとめて有休を取ろうとしたら
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