アルバイトを始めた数ヶ月は、「研修期間」として本来の時給よりも低い金額を設定されているところが少なくありません。研修期間だからという理由で最低賃金を下回る金額で働かされることは問題ないでしょうか。
最低賃金とは
会社は出来るだけ多くの利益を得るために、人件費を切り詰めたいと考えています。労働者はそうと分かっていても、日々の生活費のために雇われなくてはなりません。そうなると、労働者の賃金は、生活できなくなるほどにまで下がってしまいます。
また、一部の会社が不当に安い賃金しか支払わなかったら、多くの会社が不公正な競争をさせられます。
そこで、最低賃金制度が誕生します。
具体的な金額は、都道府県ごと、産業ごとに決められます。
研修期間中でも「許可」が必要だが、ほとんど例はない
最低賃金は、事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。常時、臨時、パートタイマー、アルバイト、嘱託等の雇用形態には関係ありません。具体的な最低賃金の額は、都道府県ごとに決められ、毎年10月頃に改定されます。
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
最低賃金法4条1項
ただし、一部「最低賃金の減額の特例」があり、一定の場合には最低賃金を下回る賃金額が許可されることがあります。
使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により第四条の規定を適用する。
最低賃金法7条
一 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
二 試の使用期間中の者
三 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
四 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者
試用期間中の労働者に対する賃金は、最低賃金の最大20%まで減額することができることとされています。
しかし、この減額特例を受けるためには、会社は都道府県労働局長に減額の申請を行い、許可を得なければなりません。過去の統計を見ると、試用期間を理由とする減額特例の許可はほとんど行われていません。
アルバイトを始めたときに、「最初の3ヶ月は試用期間だから」と言って、最低賃金を下回る賃金額で払おうとする会社もありますが、都道府県労働局長の許可がない場合、会社は最低賃金以上を支払わなくてはなりません。
研修期間を理由とした最低賃金未満の時給は無効となり、最低賃金額に修正されます。
最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
最低賃金法4条2項
パートやアルバイトでも、最低賃金はすべて適用されます。毎年変わるので、最低賃金額がいくらなのか理解しておきましょう。
最低賃金を下回っていたら
昨年始めたアルバイト。その時給が、10月に改定される最低賃金額より下回ったらどうなるでしょうか。
この場合、アルバイト先は、あなたに最低賃金額で計算して支払う必要があります。もし、支払ってくれないときは、労働基準監督署に申告しましょう。
解雇されたり、嫌がらせを受けたら怖いと思うかもしれません。しかし、労働者が労働基準監督署に申告したことを理由に、会社が労働者に対して解雇その他の不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
それでも、危ないなと思ったら、ユニオンに相談しましょう。ユニオンは、労働者が自主的に作る団体で、会社と交渉する権限を持ちます。個人の悩みが団体間の交渉の形になります。
にいがた青年ユニオンもそうしたユニオンの一つです。LINEやメールでも相談できます。また、こうしたユニオンは、お住まいの近くにもあります。検索してみましょう。
研修期間中の最低賃金を下回っていたら
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