未払い残業代はどれぐらい遡って請求できますか

私たち労働者は、自らの労働力を売ることで生活を営むために働いています。働かされたのに賃金が支払われないということは、許されません。

いままでもサービス残業改称キャンペーンが行われてきましたが、残念ながら、いまだに不払い残業はなくなっていません。

朝礼や着替え、掃除の時間を労働時間内にカウントしない。固定残業代を支払って、不足分の残業代を払わない。自主的な研修と称して、賃金を支払わない。ただしく変形労働時間制を運用しない。

いろいろな形があります。

そうした不払い分は、どうやったら請求できるでしょうか。どれぐらい過去に遡って請求できるでしょうか。

サービス残業代を請求するには

サービス残業を証明するには、実際に働いた仕事の始業時刻と終業時刻、いままでに支払われた賃金の記録（給料明細）があれば、未払いになっている賃金が計算できます。

そもそも、労働時間を適正に把握し、記録する義務は使用者が負っています。つまり、労働時間の記録は使用者が持っているはずです。まずは、それが一つの証拠となります。

そのタイムカードが間違っているとしたらどうでしょうか。自分が勤務時間とされた時間の外に、勤務場所にいるとか、通話の記録があるとか、なにかしら記録が残っているのではないでしょうか。

スマートフォンを設定しておくと、時刻と現在位置を記録することができます。いつ職場に到着し、いつ職場から外に出たかがわかります。

残業代請求の時効は2年から当面3年へ

賃金の請求権は、2年間でした。つまり、過去の残業代を請求しようとすると、原則2年前までしか請求を遡れませんでした。

それが、2020年4月1日に支払われる賃金から、時効は当面3年になりました。実際に3年を超えて遡って請求できるのは、2022年4月以降となります。

サービス残業のない職場に

未払いの残業代を請求しようと呼びかける弁護士事務所のサイトが多く見られます。働いた分なのですから、払ってもらうのは当然です。しかし、それだけではサービス残業のない職場にはなりません。

サービス残業は、長時間働かせることに対して使用者が得をするので、残業を減らそうとしません。これは、過労死を引き起こします。とても危険な職場です。

そこまでいかなくても、モチベーションももちろん低下しますが、能率も下がります。そして、働きやすい職場ではありませんから、労働者は定着しません。つまり、使用者にとってもよい状態とは言えません。

サービス残業のない職場にするには、労働組合として会社と交渉します。会社に労働組合がなくても、労働組合はつくることができます。または、レインボーユニオンのように地域で活動する労働組合もありますから、そうした労働組合に加入する方法もあります。

退職した会社に対して、未払い分を請求することは、思ったより簡単です。しかし、次に働く会社で、また同じことが起きたらどうすればいいでしょうか。

いまの職場を働きやすくしたいなら、まずは労働組合に相談してみてください。