上司の言動がパワハラと感じたら、手遅れになる前にすぐに相談してください。ただし、相談先としてすぐに思いつく労働基準監督署は本来、労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法に基づく労働条件の改善・指導、労災保険の給付などの業務を行う機関です。そのため、労働基準法違反ではないような、職場いじめやパワハラを解決する機関ではありません。
あなたに合った場所を選んで、相談しましょう。
パワハラの相談件数は年々増加
総合労働相談コーナーは全国の労働局に設置されています。そこに寄せられた労働問題に関する相談件数は、パワハラがトップになっています。
民間会社でも、パワハラに関する研修の体制が整えつつあります。それだけ深刻な問題と受け止められているということでしょう。
パワハラには6つのタイプがあります。
身体的な攻撃
「殴る」「蹴る」「突き飛ばす」などの身体的な攻撃です。このような身体的攻撃は暴力で、正当性がないことは明らかです。
もし、診断書が取れるようなら取っておきましょう。
精神的な攻撃
パワハラで悩む労働者の多くは、この精神的攻撃で悩んでいます。精神的攻撃の方法は様々ですが、相手の人格を否定する暴言はこの典型例です。
たとえば、「役立たず」「給料泥棒」「会社を辞めろ」「死ね」等は明らかに暴言です。
過大な要求
実現が不可能又は困難な要求を押し付けられることです。「今日中に完成させるまで帰るな」や「今月いくら売上げないとクビ」といった無理なノルマを課す場合がこれに含まれます。
過小な要求
「適切な仕事を与えてくれない」こともパワハラの一部です。あまりに本人のキャリアや能力を無視した見せしめ的な業務配置はパワハラとなることがあります。
たとえば、これまで営業職や技術職で長年勤めてきたのに、正当な理由もなく受付、清掃、お茶くみ、草刈り等の単純作業に配置転換させるなどがあります。
人間関係の切り離し
人間関係の切り離しも少なくありません。「無視」「排除」は典型的な嫌がらせです。このような嫌がらせによる精神的苦痛はとても大きくなります。
たとえば、メールを返信しない、仕事を教えない、あいさつをしない、飲み会等のイベントに誘わない、デスクを隔離する、仕事場を一人きりの別室にするなどがあります。
個の侵害
業務上の事柄でなく、プライベートな事柄について過度に立ち入ることもパワハラの一つです。
たとえば、私生活上のことについて非難する、家族の文句を言う、業務時間外にプライベートな電話やメールをする、業務時間外に呼び出すなどが挙げられます。
職場から一度距離を置くことも
パワハラによる精神的苦痛は、眠れない、食事が喉を通らないなど、うつ病にかかってしまうリスクを引き起こします。いざという時、会社はあなたを守ってくれません。
上司などからのパワハラにどうしても耐えられない場合は、医師に診断書を書いてもらい休職することも解決策の一つです。
そもそも、パワハラしてくる上司らは、比較的真面目でおとなしく、何かしても黙っていそうな人をえらんで職場いじめをします。ターゲットにされたときには、すぐに逃げたり、相談したりしましょう。
いろいろな相談窓口
パワハラの証拠となるものは集めておきましょう。これまでのものがなくても思い出してメモしたり、これからそろえていきましょう。音声データ、業務指示メール、診断書、パワハラの記録など、すべて集めてください。状況をうまく説明できないと適切なアドバイスを受けられないことがあります。
パワーハラスメントの問題は、
- 相手の言動が違法なハラスメントだと言えるか
- 会社がそれを知っていたか、解決のための措置を執ったか
が問題になってきます。
労働局へ
労働基準監督署は、労働基準法違反を取り締まる機関ですが、パワハラなどを取り扱う行政機関は、労働局になります。
各都道府県には1つしかなく、パワハラの相談をする場合は均等室・均等部という部門が担当です。
新潟なら、新潟労働局と検索してください。
労働局では、相談者が選択できる法的な対応方法をアドバイスします。もし、パワハラの背景に労働基準法違反があるなら労働基準監督署へつないでくれます。
一方、あなたの受けた行為が、パワハラにあたるかどうか労働局では判断できません。あなたが受けた行為がパワハラかどうかを最終的に判断するのは裁判になります。
パワハラを受けた(1)経緯、(2)背景、(3)内容をそれぞれ具体的に伝えましょう。労働局で解決するというよりは、今後、どのような行動をすることがよいのか、アドバイスを求めるスタンスがよいでしょう。
なお、匿名の電話をかけても、一般的な答えしか返ってきません。当然、指導も入りませんし、相談内容が会社に漏れることはありませんので、すべてきちんと話してください。
社内窓口へ
セクハラやパワハラの相談窓口が社内にある場合は、そこに相談する方法があります。
証拠をきちんと示して、対応をお願いしましょう。 ただし、相談窓口がない企業や、相談窓口の担当がパワハラをしてくる上司等になっている場合などは、外部の相談窓口を利用したほうがいいでしょう。
弁護士へ
パワハラの解決を弁護士に相談した場合、代理人として会社と交渉したり、労働審判や裁判などで解決する道があります。
敷居が高いと感じるかもしれませんが、どれぐらいの費用がかかって、どのぐらいの期間を見込むのか最初に聞いた方がいいでしょう。
ユニオンへ
会社に労働組合がなくても、お住まいの地域にはユニオンがあります。検索してみましょう。
にいがた青年ユニオンもそうした労働組合の一つです。LINEやメールで相談を受け付けています。
相談後の心配
パワハラの相談は、パワハラをしてくる上司らの行動を告発することになります。そのため、 対応後のことを考えると、相談をためらうことがあります。
解決のための行動は、どのような方法を採っても、会社の担当者に対して、問題の事実関係を知ってもらう必要があります。このことによってあなたが直面している上司などからのいじめや嫌がらせが、さらにエスカレートするのか、あるいは、収まるのか、今のところはどちらとも言えません。ですが、 パワーハラスメントに対して、黙って我慢をしているとエスカレートしやすくなります。
パワハラは、労働者の能力が十分に発揮できるように職場環境を適切に保つため、会社が責任を持って解決しなければならない問題です。あなたは、会社に対して、ハラスメントがあることを、はっきりと伝える必要があります。
いまここで、何かしたらよくないのではないか、もしかしたら、時間が解決してくれるかもしれないと思うこともあります。
確かに、異動などがあって時間が解決してくれることもあるでしょう。しかしそれは解決ではありません。パワーハラスメントの対象者が変わっただけです。問題が解決したのではありませんから、ふとしたきっかけで問題が現れます。
パワハラをする上司らが問題なのであって、あなたは何も問題はありません。できるだけ早く相談に行きましょう。
何も言わずに、誰かに解決してほしいと思いたくなる気持ちも分かりますが、それでは会社もユニオンも何もできません。あなたが直面する問題解決にほど遠くなります。
迷っているようなら、まず問題点を文字にしてみましょう。そして、これまでされたことを具体的に再確認してみましょう。
もし、このようなことがあったら、次のように対処しましょう。
会社での居場所がなくなった
パワハラに対処したことを理由に不当な扱いを受けることはありません。そのような対応は違法です。
パワハラを防ぎ、労働者の労働環境を整えることは会社の義務です。それでも心配な場合のために、ユニオンに加入して、常に就業環境を良くしましょう。
報復を受けている
パワハラを相談したとき、労働環境を改善させる一環として異動させることがあります。これによって、あなたとパワハラをしていた上司らを一緒の部署に配属させなくできます。
一方で、その異動によって、あなたも少なからず不利益を被るのなら、やはり加入したユニオンで労働条件の改善を求めましょう。
退職を強要される
パワハラの対処をさせるために、あなたが退職する必要はありません。会社は労働者の労働環境を整える義務があるからです。
退職を強要してくるのであれば、ユニオンで団体交渉して厳重に抗議しましょう。
パワハラはどこに相談する?
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