最低賃金は審議会で決定されています。
しかし、その議論の過程の多くは非公開とされてきました。専門部会の三者協議が原則公開となったのもここ最近の話です。
しかし、それも不十分です。
実際に突っ込んだ話をする会議は、公労、公使の二者協議であって、非公開です。ここでは、労使が直接に面して協議しません。
レインボーユニオンは、2023年度に二者協議の記録を作るように求めていましたが、新潟では、2024年度から二者協議の議事録を作ることとなりました。
議事録は非公開ですので、情報公開請求しました。その一部をご紹介します。
二者協議の記録の形式
二者協議は、議事録の中に埋め込まれる形で記録されていました。
ここは、全体会議で労使が意見を述べたので、それを引き取った二者協議において、相手方に対する質問があるかと問われた使用者の態度です。
「特にない」のだと言います。
金額と根拠は全体会議で示すべき
二者協議中に、主張する金額と理由について全体会議で提示できるかと聞いている場面です。
これは、尋ねるまでもなく、全体会議で示してもらわなければなりません。
全体会議の最後に取りまとめることを事務局が調整
2023年度は、二者協議が終わったあとの全体会議で、取りまとめがまったくなく、「意見が一致しなかった」のようなあいさつでしかありませんでした。
レインボーユニオンは、これに抗議し、取りまとめを公表するよう求めていました。
この記録では、事務局が取りまとめをするように部会長へ意見しているようです。
非公開のメモがある
労働側から非公開のメモがあるようです。内容は公開資料とほぼ一緒とのことですので、資料を補足するものではないかと思われます。二者協議を非公開にする理由の一つになっていますが、それらのメモは「委員限り」にすればいいだけであって、非公開の二者協議を実施する理由にはなりません。
意見を言わない使用者
労働者側が提示した金額に対して、使用者側は評価もしないし意見も言わないという場面です。
ここは、やはり言うべきです。自分たちはこう考える。だから相手の考え方はおかしい。そういう議論を噛み合わせなければ、困るのは司会役の公益です。
二者協議の記録を作る事務局
二者協議の記録は、2024年度から事務局の独自の判断によって作成されることになっています。使用者も同意しています。
歩み寄り
いろいろと理由をつけて数字を出しますが、そこはそことして目安金額に向かう方向で歩み寄る必要性があります。部会長が労働者側に対して歩み寄りを促しています。
交渉という側面があるため、自分たちだけが先行して目安に向かうわけにはいきません。使用者が歩み寄るなら私たちもと労働者側が述べている場面です。
社会福祉とのつながり
最低賃金の引き上げではなく、福祉制度も念頭にいれるべきという議論があります。しかし、使用者側はその考え方には立っておらず、部会長は、審議会としてどこまでできるか悩んでいる様子が見えます。
唯一の黒塗り部分
この議事録を通して唯一の黒塗り部分です。前後の関係から、具体的な会社名が記入されているようです。
たしかに、法人に関する情報で必要な部分は不開示になっていいでしょう。
ですが、二者協議が全体的に不開示にする理由にはなりません。あくまでも公開を原則として、こうした具体的なケースの場合のみ非公開にするほうが適切です。
年収の壁に関する要望が入った
レインボーユニオンは、厚生労働省から取り寄せた資料を元にして、新潟から政府への要望の中に「年収の壁」に関するものを入れてほしいと意見書を出していました。それが使用者側が受け入れ実現した経過が記録されています。
公益見解が示される
労使の意見が動かなくなったため、公益委員見解が二者協議の中で示されています。
54円引き上げの根拠が示されています。
労使双方が物価高で苦しい
公益委員見解に対して、使用者側が意見している場面がこれです。
部会長と使用者側の意見がぶつかっています。
案文を最終調整
最終的に公益見解や政府への要望が作られますが、労使がそれぞれ持ち帰りつつ作成している様子です。
たしかに、公開の全体会議になじまないかもしれませんが、だからといって二者協議で行うものでもないのではないでしょうか。
二者協議の記録作成は全国へ
これまで非公開の二者協議は、記録すら作成されてきませんでした。しかし、2025年度は作成される見込みがあります。情報公開という手順を取らなければなりませんが、二者協議で何をしているのか浮き彫りになるのではないでしょうか。
二者協議で何をしているのか 2024年度新潟県最低賃金専門部会
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