ブラックバイトとは|起こりやすい業種と学生でもできる対策・相談先

ブラックバイトとは、ブラック企業のように違法性のある労働環境や正社員並みの業務や責任を求められて学業と両立し得ない働かせ方のアルバイトのことです。

ブラックバイトは主に学生の間で広く使われる言葉ですが、同じようなことは一般のアルバイトでも無関係ではありません。

現在働いているアルバイトがブラックバイトだとしたら、どのような対策をとるべきなのでしょう?

ここでは、

  • ブラックバイトとは
  • ブラックバイトを見分けるための知識や実際に被害にあった際の相談先

を中心に、解説していきます。

ブラックバイト増加の背景と実態

ブラックバイトが増えてきた理由は、非正規労働者が増加してその責任が増えてきたこと、学生がアルバイトしないと学生生活を維持できなくなってきたことが挙げられます。

非正規労働者が増加

非正規労働者が増加しています。全労働者に占める割合は4割ですが、職場によっては、8割以上が非正規労働者というケースもあります。

そのため、アルバイトでも正社員並の業務や責任が求められるようになっています。

そのことは、学生バイトにも同じように求められることになります。こうなると、労働時間は長く、売り上げのノルマ、パワハラやサービス残業など、ブラック企業と同じような労働環境となります。

生活のためにアルバイトする学生の増加

ブラックバイトでも仕事先にしがみつかなければならない理由が学生に出てきました。学生の保護者にも貧困が広がり、仕送り額が減少したこと、学費が高騰して、アルバイトなしに生活を維持できないことが挙げられます。

ブラックバイトによって、学生生活に支障を来すケースもあります。ブラックバイトによって学校の授業単位が取れず、留年したりするケースです。

ブラックバイトの特徴

ブラックバイトでは、長時間労働、シフトの強制、急な呼び出し、ワンオペなど、学生バイトの学生生活を考えない労働時間を強いることがあります。

また、サービス残業や賠償、罰金を科すなど、支払うべき賃金を支払わなかったり、違法な天引きをすることがあります。

これらは違法です。

長時間労働をさせる

労働基準法では、労働時間は「1日8時間、週40時間」の原則があります。それ以上働く場合は、労使で三六協定を結ばなくてはなりません。当然、労働者代表を選挙などで選出する必要があります。

日常的に長時間労働させられる場合は、三六協定をチェックしておきましょう。

そうでなくても、学生バイトという立場であれば、学業優先は当然です。学ぶ分だけ労働時間は一般の人よりも短くて当然です。断っても無理矢理シフトに入れる、断っても受け付けない、代わりの人を探さない限り断れない等の場合は、ブラックバイトです。

サービス残業をさせられる

働いた分の賃金は、支払ってもらわなくてはなりません。「仕事が遅いのはお前の能力が低いから」のような言い方でサービス残業を放置している職場は悪質です。

人により、長所や短所があります。能力にばらつきがあるのは当然です。さらに、その能力を引き出すための指導が適切かどうか問われます。新しくなれない業務を最初からこなせなくても、何の問題もありません。

シフトの強制や急な呼び出しを行う

学業を優先するのであれば、当然にシフトはそれに配慮してもらわなければなりません。

働いた分だけ賃金が増えることは、うれしいかもしれません。ですが、あくまでも学業優先です。無理にシフトを埋めさせられて、体調が優れなかったり、授業が受けられなかったり、テストの対策が立てられなかったりしては問題です。

また、急に呼び出されてシフトを埋めるようにいわれることもあります。授業中にまで頻繁に連絡が来るなど、学業に差し支える呼び出しは問題です。

無理のあるシフトを組まされる

ワンオペなど、一般の労働者でも問題ですが、学生バイトにやらせるケースがあります。

人件費を極限まで削ろうとすると、こうしたことが起きますが、ワンオペのような働かせ方は、利用者の立場でも声を上げてしかるべきではないでしょうか。

罰金・買い取り・弁償をさせられる

レジの現金が合わなかったりしたときに、担当者が差額分を弁償したり、売り残り商品を購入させられたり、遅刻や欠勤に対して過大な罰金を科せられたりすることがありますが、これらはすべて違法です。

簡単に辞めさせない

退職届を出しても受け取らなかったり、「代わりの人を見つけるまで辞めさせない」、「損害賠償する」など言われて、無理矢理辞めさせないのは、ブラックバイトです。

「いままでかかった経費の損害賠償をする」と脅されるケースにおいて、損害賠償には法的根拠はなく、単に萎縮することを狙っているだけです。こうした言い分に応じてはいけません。

退職したければ、退職日を指定して退職する意志を伝えればいいだけです。突然辞めてしまうと少額訴訟で訴えてくる会社もあるので、状況によりますが、できれば退職日を指定して退職届を出した方がいいでしょう。

期間の定めのない労働契約の場合、基本的には、14日前までに申請することで退職は可能です。

労災保険に未加入

学生バイトであっても、労災保険の対象です。仕事中や通勤途上のけが等は、労災保険の対象で、一部負担金なしで治療できます。

学生バイトであっても、労災隠しとならないようにしましょう。

パワハラが横行する

主に上司がその地位を利用して、身体的、精神的な圧力をかけてくることがあります。こうしたパワーハラスメント(パワハラ)が日常的になっている職場は、かなりブラックです。

ブラックバイトの違法を探せ

ブラックバイトは、学業との両立を阻む特徴もありますが、違法性を帯びているケースもあります。

たとえば、

  • 着替えなどの準備時間が業務時間に含まれない
  • 制服などの費用を給与から天引きされる
  • 時間外労働を切り捨てる

といった内容です。

着替えや店内の開店準備、朝礼などは、業務のためにする事柄なので、タイムカードを打刻して始業時間以後に行うべきです。

賃金には、全額払いの原則があります。制服などの費用をいきなり賃金から天引きするのは違法です。天引きできるのは税金や社会保険料の他、労使協定で定められたものだけです。

労働時間は、1分単位で計算しなければなりません。また、「1日8時間、週40時間」を超えたら、割増も必要です。アルバイトであっても、そのルールは一緒です。

ブラックバイトが多い業種

学生バイトが多い業界の特徴をふまえて、ブラックバイトかどうかのチェックをしてみましょう。

塾講師

塾や家庭教師などは、比較的時給が高いことから学生に人気ですが、賃金が1コマ単位で計算されている場合(コマ給)、ブラックバイトの可能性があります。

なぜなら、授業以外に、ミーティング、テストとの採点などもあるからです。もし、こうした仕事が無給であれば、それはサービス残業です。また、無給とまでいかなくても、そうした授業以外の作業を最低賃金近くで行わせるケースもあります。

あらかじめよく調べておきましょう。

飲食店

学生バイトで手軽に始められるとして人気のバイト先です。

着替えや開店準備の時間が始業時間前に扱われたり、休憩時間が十分になく、忙しくなると休憩途中でも呼び出されることがあります。

コンビニ

コンビニも学生バイトが戦力になる業界です。

コンビニおでんが流行る時期が来ると、売り上げを伸ばそうと買わされるケースがあります。おでん以外にも、クリスマスケーキ、恵方巻きなどノルマが課されるケースも。

レジのお金に誤差があると、担当者で割って支払わされることがあります。

人手不足が手伝って、シフトを勝手に増やされたりします。テスト前でも関係なくシフトを入れられて、授業に差し支えるようになっています。

アパレル

人手が不足したり、売れ残りを買い取りするよう言われたりする業界です。

ブラックバイトの対処法

ブラックバイトは、泣き寝入りしがちです。学生バイトはどうしても学生生活のことを考えてしまいがちで、社会経験も浅いためです。しかし、手遅れになると単位を落としたりします。しっかりとした対処法は知って、きちんと専門家に相談するようにしましょう。

知識を身につける

ブラックバイトは、違法なことも多々あります。違法な出来事を違法と認識できることは大切です。

最近は、学校でも働くときのルールを教える動きも出てきました。知識を理解して、行動する第一歩にしましょう。

バイトは辞めてもいい

ブラックバイトに捕まったままになると、単位を落として留年することもあります。そうなっては本末転倒です。

ブラックバイトは辞めてもいいということも知っておきましょう。

基本的に、退職は2週間前に「辞めます」と意志を伝えたら成立します。暴力的に脅されたり、損害賠償すると言われても、応じる必要はありません。

労働基準監督署に相談する

労働相談を受け付けてくれる行政機関としては、労働基準監督署があります。労働基準法や最低賃金法などの違法なら、是正指導をしてくれますし、それ以外でもあっせん制度などを利用することができます。

労働基準監督署に行くときは、できるだけ文書などの証拠を持って行きましょう。

弁護士に相談する

パワハラなどでうつ病になったなどの実害がでている場合、慰謝料請求などの方法が採れます。弁護士への依頼には費用もかかりますが、労働問題に詳しい弁護士ならそのような方法もあると覚えておきましょう。

労働組合(ユニオン)に加入する

労働組合というと、会社になって正社員が入っているイメージですが、学生バイトも入れる労働組合もあります。

にいがた青年ユニオンは、メールやLINEからも相談を受け付けています。証拠を集めて解決に向けて動きましょう。

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