弁護士とユニオンどっちがお得？比較してみた

職場でトラブルが起きたとき、あなたは誰に相談するでしょうか。

手始めは同僚や知人、家族でしょうか。でも、たいがい素人です。

専門家と言えば誰？

おそらく真っ先に思いつくのは、労働基準監督署の監督官です。厚生労働省の出先ですし、一度は聞いたことがあるでしょう。ダンダリンでも有名になりましたね。

しかし、労働基準監督官は警察官。労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法のような刑事罰を加えることのできる法律に違反している事例であれば、会社に対して指導できます。ですが、たまに逆ギレ訴訟してくる会社もあるのですが、民事に入ってしまうと手出しできません。

労働基準監督署で、賃金不払いを相談すると、「あまりないですが賃金を支払ってくれない場合もありますので」と言われることがあります。これは、民事上の手続きになるからです。

弁護士に頼んでみる

法律の専門家と言えば、弁護士です。他にも、労働事件を扱ってくれる専門職もあるのですが、ここでの紹介は割愛します。

弁護士は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」が使命です。あなたが労働相談に行けば、その立場でアドバイスしてくれるでしょう。

相談は、法テラスに連絡するケースと、直接、弁護士事務所に連絡するケースがあります。

特に、誰がいいというのが決まっていなければ、法テラスに連絡してみてください。基本的には、お住まいの近くの弁護士事務所がいいです。もちろん、テレビCMで人集めしているようなところは避けるべきです。そんなものすごい広告料をどこから稼いでいるのか考えたらわかりますね。

予約を入れて、相談しましょう。相談料は、自由化されていますので聞いておいてください。また、弁護士は基本的に忙しい人たちなので、ただ話をするだけでなく、文章にしておくことはもちろんですが、要点を図示しておくといいでしょう。

民事事件として解決に当たるのであれば、弁護士にはその事件の代理人となってもらいます。裁判だけでなく、直接交渉したりあっせんしてもらったりすることができます。

もちろん、金銭的に不安があるかもしれませんが、それは最初に聞いておきましょう。

ユニオンとは何か

一方、「ユニオン」というのは、労働組合です。

ユニオン・ジャックというのはイギリスの旗ですが、イギリスは連合王国なので、ユニオン(union)＝結合、団結、連合、合併というような意味です。

Labor union（労働者の連合体）＝労働組合という。

日本で労働組合というと、会社ごとにある労働組合をイメージするかもしれません。しかし、世界的に見れば、そうした労働組合は、Yellow dog（会社の犬という意味で「御用組合」）と呼ばれて、嫌われます。

一方、そうした会社の枠に縛られずに作られた労働組合もあります。ユニオンや地域労組、合同労組、一般労組などの名称を名乗っていることが多いようです。

にいがた青年ユニオンもそうした労働組合です。規約第5条にあるとおり、基本的に労働組合法で認める労働者は誰でも加入できます。

労働組合は何をするかですが、あなたの持っている労働基本権という基本的人権の一つを活用します。

憲法で、このように定められています：

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

憲法28条　 勤労者の団結権及び団体行動権

弁護士は、弁護士法で縛られています。しかし、労働組合は憲法で認められています。この権利を活用しない手はありません。

とはいっても、労働組合は、入るも自由。辞めるも自由。町内会と同じなので、運営するために会費（労働組合費）は必要になります。金額はその労働組合によってさまざまなので、聞いてみるといいでしょう。たいがい、どこでも収入の１～２％前後のようです。

労働組合は、正当な活動として会社の営業を妨害することができます。営業妨害を個人でやると刑事的にも民事的にも責任を問われますが、労働組合は、それが免責されています。この圧力を背景にして、使用者と労働者のバランスを生み出して、労使交渉を行います。

労働者個人が一人で交渉しても、営業妨害ができないので、上司にお願いするしかありません。弁護士にお願いしても、ここは同じです。

労働組合なら、営業妨害をちらつかせつつ、労使双方の利益となる水準に持って行くことができます。

もちろん、弁護士に依頼しても、ユニオンに加入しても、最終的に訴訟に持ち込まざるを得ないケースはあります。ただ、その場合でも、社会的に正義がどちらにあるのか、きちんと世の中に訴えられれば、良いのではないでしょうか。

なお、弁護士でも、労働問題のときに労働者側に立つ方は、日本労働弁護団、自由法曹団、ブラック企業被害対策弁護団といった団体に所属していることが多いので参考にしてみてください。