こんな誤解があります。
労働組合は労働条件の引き上げにもっと力を入れるべきで、その他のことばかりやっているのは、けしからん。
労働組合は労働条件の向上を目指す
当たり前のことですが、労働組合は自らの労働条件を引き上げるために団結して行動します。
しかし、これは当たり前のことではありません。
労働組合は、労働者が団結して自分たちの労働力を安売りしないようにしているのですから、独占禁止法でいうところのカルテルに相当します。公正な商取引上、許されることではありません。
しかし、一見、違法に見えますが、労働者の団結を禁止し、それをそのままにすると、労働条件が労働者の生存を脅かされるほどに低下します。歴史の中で見れば、それが現実のものであり、ひいては社会を壊すものです。
また、自らの労働条件を引き上げることは当然ですが、それだけでは上手くいかないことがすぐにわかります。同じような仕事をしている人は、会社の内にも外にもたくさんいます。使用者なら、安い労働力を買いたくなるので、労働条件の高い労働者を雇いたくはないでしょう。
したがって、労働条件を引き上げるためには、同種の産業で働く人も含めて、使用者団体と交渉しなくてはなりません。使用者でさえ、同業他社と抜け駆けされないために取引に応じるのです。
この点、日本の労働組合は、遅れをとっています。会社ごとに作られた労働組合は、会社の業績に引きずられ、足並みが乱れます。自分たちの労働条件しか目にならなくなるので、代表性を失い、求心力が低下します。使用者は互いに疑心暗鬼となり、労働者に投資しなくなります。これが、日本を成長させなくした原因です。
法律を変える
私たちの働き方は、労使交渉だけで決まりません。法律でも決まります。
放っておくと、労働市場の辺縁にいる労働者を中心に、労働条件は際限なく低下していくので、法律で最低限度を決めます。労働基準法が、その代表であり、大本は日本国憲法です。
そうやって作られた法律も、使用者が(私たちにとって)悪い方へどんどん変えようとします。これは議会で戦わなければなりません。世論で包囲すると同時に、私たちの代表を議会へ送り出す必要があります。労働組合は、市民に向け、政治活動も行わなくてはなりません。
平和をつくる活動
産業革命以降、労働条件の低下は社会を不安定化させ、戦争をもたらしました。
国家総力戦となる戦争は、私たちとその家族の命を奪います。毎年この夏になると、ヒロシマ、ナガサキを繰り返してはならない、核兵器をなくさなくてはならないと誓いを新たにします。しかし、いまもなお、核兵器を保有し、管理している国があります。それが労働者の何の役に立つでしょう。
また、直接に兵器を作り、使って行う戦争だけでなく、その下地になっている貧困や暴力にも目を向けなければなりません。
貧困をなくすために労働条件の引き上げを目指し、貧困を連鎖させないために、教育に力を入れることは重要です。私たちが私たち自身でつくったさまざま制度でお互いに支え合えることが必要です。
戦争で平和を維持することはできません。
貧困や暴力をそのままにして平和を維持することはできません。
労働組合が、この市民社会と向き合うとき、おのずと平和をつくる大切さに向き合います。戦争をしたがる一部の人たちを権力から遠ざけなくてはなりません。
労働組合がどんな立ち位置にいるか、それは市民から評価されるべき事柄です。
労働組合はなぜ平和活動を行うか
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