労働組合に加入した後どうやって交渉するの

レインボーユニオンに持ち込まれる相談には、いろいろなものがあります。相談した後、何が起きるのかわからないから、相談を躊躇する人もいるかもしれません。あるいは労働組合に対するマイナスイメージがあって、相談しにくいという人もいるでしょう。

ここでは私たちに労働相談が持ち込まれたとして、その後どうなるかお話していきます。

労働相談はLINEでもできる

ふつう、労働組合は、いろいろな人から相談を受けることはありません。なぜなら、会社内の労働組合だからです。職場の問題は、電話をしなくても職場にいる組合員で解決することができます。

それに対して地域で活動する労働組合は、電話で相談を受けています。最近はメールでも受け付けています。

私たちレインボーユニオンは、普段電子メールでやり取りをしていないスマホ世代のみなさんのために、LINEでも相談を受け付けています。

絡まった糸を解きほぐす

残業代を払ってくれないという単純な問題もありますが、それは労働基準監督署でも解決することができます。

私たちに持ち込まれる相談はもっと複雑です。まるで絡まった糸を解きほぐすような作業が必要です。

相談は三つの段階に分けて順番に解決していきます。

一段階目は健康です。

たとえばパワハラを受けて精神的にまいっている時、そのことをまず解決する必要があります。本人でなく家族の協力を得ることも必要です。基本的には病院に通う、職場から一時的に離れるといったことが必要です。

身体的な怪我をしているなら、やはり、まずは療養が必要です。

二段階目は生活です。

私たちが働く目的は、生活をするためです。もっと言えば、生活費を稼ぐためです。

仕事を辞めるとなると、失業した後の生活費に困ることになります。病院に行くとなると、医療費のことが心配です。

そうしたことも見通しを立てておくことが必要です。

三段階目は労働です。

今の働き方はどうでしょうか。簡単にクビにされていないでしょうか。ものすごい残業をさせられていないでしょうか。安い賃金で働かされていないでしょうか。社会保険にはちゃんと入っているでしょうか。有給休暇はちゃんと取れるでしょうか。安全に働ける職場でしょうか。

特に今であれば、新型コロナウイルス感染症の対策はちゃんとなされているでしょうか。テレワークの自己負担はないでしょうか。ワクチンの接種に配慮してあるでしょうか。正規労働者と非正規労働者で差別されていないでしょうか。

相談しようと思ったこと以外にも、隠れた問題はあるものです。この際、職場のことを点検して、職場のありのままの姿を俯瞰してみましょう。

そうしたことを整理できたら、労働組合に加入しましょう。

要求としてまとめる

あれやこれやと不満はたくさんあります。しかし、それは不満でしかありません。

どうしたらみんなが幸せになるように解決できるのか、考えを巡らせなければなりません。

そのためには、できるだけたくさんの人の知恵が必要です。みんなで会議をしてみましょう。

そうやって出来る上がるものが要求です。

要求は簡潔に文章にまとめて、会社に対して提案します。

いよいよ交渉

労働組合として提出した要求書をもとにして、会社と対等な立場で交渉を行います。

会社はこの交渉そのものを拒否することができません。

突然、労働組合から交渉を申し込まれた会社は戸惑いがあります。時にギクシャクすることもあるでしょう。しかし、それは交渉を重ねていけば必ず解決することです。

すべては一気に解決しない

会社の違法は別として、そうでないものはすぐに解決する事柄ではありません。場合によっては、解決まで数年かかることもあります。

すべてを一気に解決しようとすると、どこかに無理が生じるものです。だからといって、誰かが勝手に引き際を決めていいものではありません。どこまで勝ち取るのか、どこが引き際なのかは組合員みんなで話し合って決めていきます。

点検しよう

労働条件はほったらかしにすると、だんだん悪くなっていきます。しかし、労働組合で行動しているいま、逆に良くなっていくでしょう。しかし、短い期間で見れば、良くなったり、悪くなったりしています。今すぐ悪くなったからといって諦めないようにしましょう。

少し長い目で見ながら、職場のことを点検してください。そうすれば、次に何をするのか、みんなで決めていくことができます。

労働組合に対する誤解

労働組合に入ると、誰かが何かをしてくれるわけではありません。みんなで何かをするためには、あなたも参加しなければなりません。初めは面倒と思うかもしれませんが、働き方をよくしたいと思う気持ちは、みんなと同じはずです。

政治活動に駆り出されるのではないか心配でしょうか。これは、労働組合によって異なります。ある労働組合では、労働組合出身の議員候補者を推すことがあります。この場合、チラシや支持者カードが回ります。働き方を規制するために、法令を整えることは重要ですから、政治活動は大切です。一方で、個人が誰に投票するかは、自由でなくてはなりません。

自分の考えをはっきりさせよう

こうして見てくると、大切なのはみんなの意見を集めるために、自分の意見をはっきりさせておくことです。ここには中立的な意見というものはありません。誰かについていくということはやめましょう。

労働組合員は、ただの労働者ではありません。そのことに誇りを持ってください。会社のこと、地域のこと、この社会のことに少なからず影響を与えます。そして、次世代に影響します。

アメリカでは時給15ドルを求める運動があります。そのことは若者の心をとらえ、ついには大統領が政策として掲げるところまで来ました。世の中は、トップダウンで動くのではありません。民主主義とは、こういうものです。

もし誇りの持てる人生を送りたいと思っていたら、ぜひ、労働組合に加入してください。

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にいがた青年ユニオンとレインボーユニオン

2008年に誕生した労働組合。労働条件だけでなく、暮らしや健康問題にも強い関心を持つ。どこに住んでいても、どのような働き方でも加入できることから、2020年に「レインボーユニオン」に改名。にいがた青年ユニオンは、レインボーユニオンの新潟県支部になる。

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