参院選が終わって、国会議員の先生たちがあれやこれやと右往左往しています。情報が流れてくることはよいのですが、そもそも政治のあり方はどうでなければいけないのでしょうか。この国の進路は民主主義で決めますが、労働組合も同様です。今回は、そのお話をします。
誰かが勝手に決め手はいけない
むかしむかしは、お殿様がいて、その周りに付き従う人たちがいて、勝手に決めごとをしていました。もちろん、あまりにも酷い悪政を行えば、下々の人たちは生きていませんから、一揆を起こしたり、逃散したりしました。
こういう仕組みは、独裁的で、一人の考えで決めるわけですから、いち早く決まるかもしれませんが、間違うときは酷く間違えたものができあがります。
過去にも、そうした独裁者の私情によって、悲劇は起きました。だから、みんなで物事を決めていく方がいいのです。
戦後の文部省が作った「あたらしい憲法の話」
戦後の文部省は、非常にまじめで、子どもたち向けに「あたらしい憲法の話」という小冊子を配りました。
戦前、軍部が独走し、時に軍国主義的、国家主義的になり、悲惨な戦争への道に突き進み、大切な人命を失わせ、国土を荒廃させました。その反省として、子どもたちに民主主義を教えようとしたのです。
先ほどの動画は、そのあたらしい憲法のはなしの朗読をシリーズ化しているあき1dayさんの動画です。チャンネル登録して、他の部分も聞いてみてください。ただ、あたらしい憲法の話の一部には、やっぱりこれを作成した人も、まだ戦前の価値観が抜けていないのかなと思う部分もありますので、そうした疑問点は持ちながら見てみてください。
労働組合は民主主義での運用が求められている
労働組合は、もちろん憲法で認められた労働基本権で作られるわけですが、その詳細は、戦後に作られた労働組合法で定められています。
そして、それは民主主義を徹底しています。
まず、これは、組合員ならだれでも組合のことに携わり、他の組合員と差別されたりしないことを示します。
連合団体である労働組合以外の労働組合(以下「単位労働組合」という。)の組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱を受ける権利を有すること。
労働組合法5条2項3
例えるなら、法の下の平等のような感じでしょうか。
選挙権と被選挙権については、こちらです。
単位労働組合にあつては、その役員は、組合員の直接無記名投票により選挙されること、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあつては、その役員は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票により選挙されること。
労働組合法5条2項5
信任投票などの場合は、投票が省略されることもあるわけですが、原則は「直接無記名投票」。株主総会やAKB総選挙などと異なり、一人一票です。
続いて、みんなが集まる総会について。
総会は、少くとも毎年一回開催すること。
労働組合法5条2項6
国の場合はさすがに全員が一カ所に集まれないので間接民主主義ですが、小さな労働組合なら直接民主主義で総会が開かれます。全国組織などだと間接民主主義になります。
国も、国会を開かず政府がずーっと政治をやり続けるなんてことはできませんが、労働組合も同じ考え方で総会開催が義務となります。
民主主義は多数決ではない
先ほどの「あたらしい憲法のはなし」の中で、「議員のおおぜいの意見で物事をきめます。そうしてほかの議員はこれにしたがいます。」というくだりがあります。
単純に説明しようとすると、こうした説明になるしかないのですが、大人のみなさんには、もう少し詳しく説明しなくてはなりません。
多数決を取るという手法は、真実からの逃避です。
たとえば、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイは、多数派である天動説によって黙らされることになります。現在、サイエンスの分野では多数決では決めません。実験から理論が証明できれば、少数派であっても正しい理論として認められます。
しかし、残念ながら、人間社会はそのような実験は、そうそうできません。そのため、実験ではなく、議論をするわけです。こうしたらどうなるか、でもその代わりに何が起きそうだと話し合って、考えます。この過程においては、たとえ少数派であっても、それを無視してはなりません。
ただ、その議論も終わりが見えないものになるときがあります。その際は、やむを得ず真実から逃避して、多数の人の意見でやってみます。
当然、真実ではない可能性がありますから、慎重に進めなければなりません。もちろん、結果について、多数派といえども、きちんと受け止めなければなりません。
仮に、間違っていたら、多数派といえども間違いを認め、引き返す努力が必要です。報告書がなかったものにするなんていうことは許されません。
労働組合もチェックが必要
国でさえそうしたチェックが必要ですから、労働組合ももちろんチェックが必要です。
行動するときには、どういう効果が生まれるか、反作用は何か、費用はどれぐらいを見込めばいいか、ちゃんと計算してから実行します。実行後は、見込み通りの効果が出るか、出ないならなぜか、それを埋め合わせることができるのか、あるいは引き返すのか、ちゃんと考えなければなりません。
真実からの逃避は、悲劇でしかありません。
あなたも、戦後生まれの民主主義の子どもでしょう。国や労働組合にとって、何が民主主義なのかぜひ考えてみてください。
労働組合と民主主義の関係について
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