今回は、労働組合の一つ、「にいがた青年ユニオン」についてご紹介しましょう。
合同労働組合
にいがた青年ユニオンは、新潟県発祥の合同労働組合です。
合同労働組合(合同労組・ごうどうろうそ)とは、一つの会社の労働者だけでなく、いろいろな会社に勤めている人たちが集まってつくる労働組合です。
日本では、企業別に作られる労働組合が多数派です。しかも、大企業に偏って存在します。
中小零細企業で、会社に労働組合のない労働者にとって、労働組合は縁遠い存在です。合同労組は身近の地域にありますが、あまり知られていません。
青年ユニオン
青年ユニオンは、若者の労働問題を主として取り上げた首都圏青年ユニオンをモデルにして作られた労働組合です。
にいがた青年ユニオンは、青年という年代を指すのではなく、若者で起き始めた問題を中心に、かつ、これまで労働運動に携わってこなかった人たちの新しい感性を生かして取り組むことを指しています。
したがって、にいがた青年ユニオンは、年代に関わらず、これまで労働運動に携わらなかった人にこそチャンスのある団体です。
新潟県内の合同労組はいくつもある
「新潟 合同労組」などと検索すると、いろいろな労働組合が検索にヒットします。
にいがた青年ユニオンの他には、にいがたユニオン、えちごユニオン、女のユニオンなどです。
それぞれ、活動の重点が異なります。もし、合同労組に加入したいときは、それぞれのホームページ等を参考にしつつ、活動の特徴を押さえて相談してみるといいでしょう。
活動の特徴
にいがた青年ユニオンの特徴について見ていきましょう。
会社の言いなりにならない
合同労組の一番の特徴は、いわゆる御用組合にならないという点です。いろいろな会社の労働者が集まって作っている労働組合なので、特定の会社と繋がっているということは考えにくいことです。
ただし、いま加入している労働組合があって、そこに不満を持ち、別の合同労組に加入したいと思ったら、断られたというケースがあります。これの多くは、いまの労働組合とその合同労組が同じ上部組織をもつためです。いま労働組合に加入しているという人は、その上部団体がどこなのか必ず調べておきましょう。
にいがた青年ユニオンは、上部組織を持たない労働組合です。
自分たちで考えて行動する
合同労組の活動を維持するには、それなりの苦労があります。
大手労組が組織拡大のために作っているのなら、その活動は、専従者によって行われますから、自分たちは楽かもしれません。一方で、こうしたいと思っても、そう思うとおりにさせてもらえないこともあるでしょう。
にいがた青年ユニオンは、そうした専従者はいません。みんながボランティアの精神で活動しているので、そこそこ大変です。一方、こうしたいと思えば、みんなと協議しながら、最終的には自分の職場に責任を持って行動できます。
取り組みが失敗に終わる可能性は、誰が行ってもあるものですが、自分たちで考えた結果であれば、納得して、再び立ち上がれるのではないでしょうか。
その意味で、にいがた青年ユニオンの活動は、最初からは難しくとも、次第に自分の職場に責任が持てるように学んで行動していくことが求められます。
社会的な取り組み
にいがた青年ユニオンの組合員は、それほど多くありません。しかし、社会的な取り組みを当事者が行うことで、大きなインパクトを与えることができます。
固定残業代を告発
残業代をあらかじめ一律に払うことで、求人額を過大に見せかけたり、本来支払うべき残業代を支払っていなかった「固定残業代」を問題にして取り上げたことがあります。
単に、特定の会社だけを問題視するのではなく、労働基準監督署などの行政機関にも働きかけて、マスメディアに訴えるなど、固定残業代の仕組みそのものを問題にしました。
特定の会社だけであれば、その会社の労働者だけの問題で、他の会社は固定残業代の仕組みを利用して、不当な利益を得ることになります。 そうならないために、問題を社会的にしていきます。
現在では、ハローワークにおいて、固定残業代をきちんと明示するようになりました。
最低賃金の引き上げを求める
にいがた青年ユニオンは、最低賃金の大幅引き上げを目指して、「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」の取り組みに関わっています。
ある会社だけ見ると、労働者の賃金を上げると、会社の取り分が減って、競合他社より不利になります。こうした関係がある上、労働者はたくさんいるので、基本的に経営者は「お前の代わりはたくさんいる」といって、賃下げしようとします。
これに対して、企業別の労働組合は、これまで正社員の労働条件を守るだけで、パートやアルバイト、下請け、派遣労働者の労働条件を守る取り組みが弱かったのが事実です。
そうならないように「春闘」では、同じ業種の労働組合は、同じ賃上げ水準を求めるようにしていますが、業績が悪化している会社の労働組合は、そこから抜けてしまうこともありました。しかも、パートやアルバイト、下請けや派遣労働者の賃上げは、ほとんど視野に置かれていませんでした。
最低賃金は、高度成長期にも低水準のまま据え置かれ、家計補助的な主婦パート、学生アルバイトのものとする見方がありましたが、近年、非正規労働者が増加することにより、最低賃金の影響力は大きくなってきました。
いろいろな労働組合がありますが、最低賃金の取り組みに関する重みもさまざまです。最低賃金大幅引き上げキャンペーンは、労働組合の潮流を超えて集まり、「いますぐどこでも時給1000円、めざせ1500円」を掲げています。
新潟のような地方でも、若者が住み続けられるような最低賃金制度を求めています。特に、2017年度の地方別最低賃金を決定した議事録全国調査は、その後、各地で会議や議事録を公開させる取り組みにつながりました。
政治的活動
「労働組合なのに政治的な活動はやめてほしい」、「なぜ平和運動をやるのか」という声が出ることは確かです。ですが、私たちの生活を考え始めると、すぐに政治に突き当たります。
問題はその中身です。
私たちの働き方を職場だけでなく、少し大きな視点で考えると、労働法にぶつかります。なぜこの賃金か、労使の力関係ですが、最低賃金も関係してきて、この部分は政治の力が作用します。
私たちの暮らしを見てみましょう。日々の買い物でお金を使います。世の中にお金が回っていきますが、そこに税金も関わります。自動車を走らせればガソリンを入れなくてはなりません。そこにも税金が関わります。これらを決めているのは、すべて政治です。
よその国との関係も見てみましょう。他国との関係が悪くなると、交易関係が悪化します。つまり、日本の生産物が売れにくくなります。軍事費を使えば、民生費が減るのですから、私たちの生活の何かを削らなくてはなりません。交易は、平和でこそ成り立つ関係です。私たちの生活も、平和でこそ成り立ちます。つまり、これも政治です。
「労働組合なのになぜ政治活動か」と思う人は、まず政治について考えてみることが必要ですが、一方で、労働組合がなぜその政党や政策を応援するのか問う必要があります。
自分の信条と異なる取り組みをさせられれば、「労働組合なのになぜ政治活動か」という表現になるでしょう。
政治について、自身の信条について、組合の政治活動の三者の関係について、よく考えてみましょう。
にいがた青年ユニオンは、規約において「 この組合は,自主的な組織であり,いかなる政党・団体からも干渉を受けない。また, 組合機関は特定の政党への支持・不支持を組合員に要求しない 」と定めています。
組合費の集め方と使い方
労働組合は、自分たちでお金を出し合って運営します。町内会で町内会費を集めるのと同様です。
また、町内会費の使われ方が年に1回報告されるのと同じように、労働組合も1年に1回は会計監査を経て組合員に報告します。
名ばかり労働組合や御用組合では、その特徴が出てきます。自分のお金が原資ですから、使われ方もきちんとチェックしましょう。
にいがた青年ユニオンでも、年に1回の大会で決算を報告し、予算を立てます。無駄遣いのないよう、会計監査も活動を常にチェックします。
たとえば、このホームページも外注したのではなく、自分たちで学んでつくりあげたものです。常に無駄がないように、自分たちでできるものは自分たちで行うようにしています。
自分のことは自分たちの手で
ここまで見てきたように、にいがた青年ユニオンは、自分たちの力を集めて世の中のために活動する労働組合です。
自分たちの利益のためだけでなく、みんなの利益のために活動することは、大変な反面、やりがいのある仕事です。
にいがた青年ユニオンとは|新潟を中心に活動する労働組合
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