生活保護の利用をためらわせる要因に、「扶養照会」があります。生活保護を申請しようとすると、扶養できないかどうか、支援できないかどうか、親戚に問い合わせが行くというものです。
いま、この扶養照会が問題になっています。
扶養照会の見直しを
コロナ禍で生活に困窮する人が増える中、扶養照会の見直しを求める署名が3万人を超えて集まり、厚生労働省に提出されました。
生活保護の申請を受け付ける福祉事務所では、扶養照会が生活保護の要件であるかのような説明を行うところが見られます。
新潟県内の例として、上越市がホームページに掲載している説明を見てみましょう。
上越市のホームページ(掲載日:2020年4月27日更新)では、「生活保護の要件」として、「親子や兄弟などの扶養義務者からの援助」を挙げています。これは、明らかに間違いです。
生活保護法では、「民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」とは書かれていますが、生活保護を利用するときの要件とは書いてありません。あくまで「優先」するものでしかありませんから、扶養義務者の援助がなくても生活保護を利用することができます。
生活や人間関係を壊す扶養照会
ケースによっては、扶養照会が、その後の生活や人間関係を壊すことまであります。
ある女性は生活保護の申請時、福祉事務所に「父親からDV被害を受け、逃げている」と伝えたにもかかわらず、扶養照会をされた。父親に居場所が伝わり、何度も家に押しかけられ、金銭や家電を奪われた。その後、引っ越したが、「あの時の恐怖は忘れられない」と言う。
朝日新聞 DV父に逃げ場所知られ 生活保護の扶養照会は「百害」 2021年2月13日
それ以外にも、親族が生活保護に偏見を持っていたため絶縁されたりするケースが寄せられています。
実際、扶養照会をして、扶養に結びついたケースは1%にもなりません。ケースワーカーにも負担となる作業です。
人間関係を壊すような扶養照会は止めて、生活保護を利用しやすくすべきです。
扶養照会は要件ではありません
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