経団連が裁量労働制を拡大しようと画策

統一教会との一体化問題やら政治資金の虚偽記載、軍事費の増額など、政治の世界は話題に事欠きませんが、その裏でこっそり、経団連は裁量労働制を拡大しようとしています。

厚生労働省で、裁量労働制の対象拡大に向けた議論が大詰めを迎えている。29日に開かれた厚労相の諮問機関、労働政策審議会の分科会では、経団連が対象の拡大を求める一方、長時間労働につながりかねないと連合は反発している。

裁量労働制は危険な制度

裁量労働制は、労働時間が長くても短くても、実際に働いた時間に関係なく、契約した労働時間分を働いたことにする制度です。

労働時間の管理は、使用者の責任で行われるものですが、裁量労働制になると、実際上、労働者が労働時間を管理しなくてはなりません。経営側は、「仕事ぶりを成果で測ることができる」と言いふらしていますが、労働者は成果を求められるので、業務を短時間で切り上げられるわけもなく、自ずと長時間労働になります。

使用者側が、労働者のことを考えるわけがありません。当然、労働者側は、裁量労働制の拡大に反対です。

もしかしたら、「私の仕事ぶりを正しく評価してもらいたいから、労働時間についての裁量がほしい」という労働者がいるかもしれません。ですが、それは違います。

経営者側もこう言っています。

29日の分科会では、経済界選出の委員が「労働時間と成果が必ずしも比例しない業務に適した仕組み。能力発揮の有力なツールになる」と拡大を求めた。

賃金体系は、最低賃金法を守ればどのような形でも作れます。成果がゼロならば最低賃金のみで、大きな成果が出れば数百万円ということでもかまいません。

労働時間の管理は、賃金支払いの基本であるばかりでなく、労働者の健康管理の基礎となります。使用者は、いつも残業代を払いたくない、過労死したときの責任を取りたくないと考えています。そうした背景があることを頭に入れておけば、彼らの言葉の真意を読み取れるでしょう。

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