2021年3月から、障害者の法定雇用率が引き上がります。障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる共生社会を実現するために必要な措置です。
障害者の法定雇用率の引き上げ
2021年3月からの法定雇用率は、次のようになります:
民間企業 2.3%
国、地方公共団体等 2.6%
都道府県等の教育委員会 2.5%
また、対象となる事業主の範囲は、従業員43.5人に広がります。
法定雇用率とは、常時雇用している労働者数と雇用しなければならない障害者の割合を示したものです。算定には、身体障害者、知的障害者、精神障害者を含みます。
共に働く
かつて、中央省庁は、法定雇用率が制度化された1976年から恒常的に障害者の雇用割合を水増ししていました。雇用率に参入できるのは障害者手帳を持っている人か、医師の診断書で障害を認められた人に限っていますが、各省庁でこれらに該当しない軽度の人を勝手に障害者と参入していたものでした。
民間企業の模範となるべき中央省庁の不正は、許されることではありません。
一方、民間企業は雇用障害者数を増やしてきました。障害への配慮、インフラの整備など、費用や労力はかかるかもしれませんが、いっしょに働く仲間として共生社会の実現のために現場でできることはたくさんあるでしょう。
発達障害者のケース
そのような中で、発達障害者の雇用も増えています。しかし、職場での正しい理解や配慮ができていないという声も聞かれます。
発達障害は、精神障害に分類されていて、脳機能の発達が関係する先天的な障害です。生まれながらのもので、さまざまな特性として現れます。成長と共に目立たなくなる人、不安症状やうつ症状を合併する人、中には、就職してからはじめて障害に気がつく人もいます。
主な障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)です。
ASDは、コミュニケーションや人との関わりに困難さを感じ、興味や関心、行動が限定され、独特のこだわりや反復行動が見られます。
ADHDは、不注意、多動性、衝動性が特徴です。集中できない、注意が長続きしない、落ち着いていられない、必要のない動作や行動が多くなる、衝動的に行動するといった症状が見られます。
LDは、全般的な知的発達に遅れはありませんが、聞く、話す、読む、書く、計算する能力に困難を感じやすいと言われています。
さらに、これらの障害が重なり合うケースもあります。また、発達障害の特性があることにより、ストレスやネガティブな影響を受け、二次障害を持つこともあります。そのため、その人にあった特性や必要な配慮も異なってきます。
同僚が発達障害だったら
同じ職場で働く人が発達障害だったら、どうしたらいいでしょうか。
まず、相手は何ができないのか、きちんと把握することです。相手のできないことを求めても失敗を生むだけです。逆に、得意なことが必ずありますから、できることを把握して、最適な業務を割り振るといいでしょう。
「これぐらい誰でもできるはず」という思い込みは捨てましょう。人間であれば得意不得意はあるのは当然ですが、そのため、いやなことから逃げるな、苦手なことを克服しろという感情が生まれます。気持ちはわかりますが、最初からできないと把握していることを行わせれば、100%失敗しますから、それによって大きなトラブルや被害を広げるのでは、会社にとって損です。
チームで仕事をしているということを意識しましょう。誰もが完璧ではありません。発達障害かどうかにかかわらず、得意なことに取り組んで、成果を上げられるようなチームを作った方がいいでしょう。当たり前のことですが、適材適所の配置が最もパフォーマンスがよいのです。
指示をするときは、「あれ」「これ」などの曖昧な言葉を避けましょう。「どこのそれ」など詳しく指示をする、マニュアル化する、聞く人によって異なることがないように指示する担当者を決めるといった点に注意しましょう。
障害の特性や度合いは、個人で大きく異なります。一人ひとりへの理解を深めることが必要です。
発達障害者の雇用
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