ハローワークで求人票を見ていると、賃金に関する欄に固定残業代に関する記述があります。昔は必要なかったのですが、固定残業代がトラブルのもとになるため、必ず記載しなければならなくなりました。
この例の場合、基本給が20万400円のとき、固定残業代は1万6500円ということでしょう。特記事項として、「時間外手当は、時間外労働の有無にかかわらず、固定残業代として支給し、11時間を超える時間外労働は追加で支給」とあります。
これは、この手当が、固定残業代ですよということを明確にするためです。
まず、時間外労働があってもなくても、この手当は支給されます。たとえば、まったく残業がなくても、必ず支給されます。
そして、この手当は、11時間分の時間外労働に相当します。ですので、時間外労働が11時間までは、この固定残業代の中に残業代が含まれている、月給は変わらないという意味です。
そして、残業が11時間を超えると、この固定残業代とは別に追加で残業代が追加されます。
そう考えると、会社は必ず損をします。なぜなら、労働時間の管理をきちんと行っていれば、不要な固定残業代を支払わなくてもすむはずだからです。
では、会社側の視点になってみましょう。
毎月ほどほどの残業があるのなら、賃金の計算が面倒なのであらかじめ手当として支給しておいたほうが楽という考え方があります。
もう一つは、その求人票のように月額の金額を多く見せることができる、つまり騙されやすい労働者なら騙されて求人してくれるということです。
正直、それぐらいです。
また、これは違法ですが、労使の力関係を悪用して、追加の残業代を出さないという方法もあります。
今度は、労働者の立場になってみましょう。
残業が少し(例の求人票なら11時間以内)なら固定残業代は出るので、儲けた気分になります。
それぐらいです。
この固定残業代が良くないのは、会社側は、11時間なら11時間は残業させてやろうとする点です。追加で人件費が増えないので、本来必要な人手を増やそうとしませんし、非効率なことが行われるわけです。生産性が上がらないので、これは労使双方にとって良いことではありません。
そもそも、固定残業代は、ブラック企業が好んで使う方法です。たくさん働かせても残業代を追加で支払わないという手を悪用したいからです。
仕事を探すときは、基本給が極端に低い代わりに固定残業代がたくさんついているような会社は、後回しにしたほうが良いでしょう。
固定残業代のある会社に入社してしまっていて、これはどうかなと疑問を持ったら、一度ご相談ください。何もなければないでよいのですが、何かあるかもしれません。トラブルが具体化する前に対処しておくべきでしょう。
固定残業代に要注意!求人票をチェック
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