将来変わるかもしれませんが、いま時点で、公立学校の教員に残業代は出ません。それはおかしいと埼玉の公立小学校の教員が残業代の支払いを求めて、裁判を行いました。さいたま地裁は、請求そのものは棄却しました。
どうして、こんなおかしなことになっているか、また、これから学校の教員になろうというみなさんにご紹介します。
残業代訴訟と給特法
公立学校の教員という点を除けば、ありふれた未払い残業代を請求する訴訟です。
教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員(62)が、県に約242万円の未払い賃金の支払いを求めた訴訟で、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)は10月1日、原告側の請求を棄却した。
ここで、問題になるのは、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)です。
給特法は、(1)給料月額の4%分を教職調整額として上乗せする、(2)時間外勤務手当と休日勤務手当を支給しない、(3)例外を除き、時間外労働を命令しない、(4)教員の健康と福祉の確保のための措置を講じるという4つの柱があります。
このため、時間外に働いても、自主的に勤務したものとして扱われ、残業代が支払われない仕組みになっています。いくら働かせても、人件費の予算と関係ないため、無制限に残業させられていました。
「ブラック」化するイメージのため採用倍率が低下
このようなブラックな働き方は、インターネットやSNSを通じてみんなが知るところとなりました。
当然、このような中で、教員の採用選考検査で志望者の倍率が低下します。2021年度の新潟市立学校の教員採用選考検査は、524名(昨年度512名)で平均倍率3.9倍(昨年度3.8倍)でした。
勤務時間を把握しても抑制にならない
働き方改革が進められる中、教員の長時間労働が問題になりました。しかし、給特法が残業を原則命じないという枠組みになっているため、「在校等時間」という考え方を持ち出してきました。これにより、以前に比べて在校等時間(労働時間)は適正に把握されるようになってきました。
しかし、把握するだけでは、労働時間を抑えることになりません。しかも、変形労働時間制の導入を目指すなど、労働時間管理の原則から外れさせようとしています。
労働時間を抑えるには、残業代というペナルティーを科すことです。もちろん、人員増を求めなくてはなりません。
教員になる人は理不尽とたたかおう
子どもを育てる教員は、未来を担う仕事です。そうした人が、ただ世の中の理不尽を受け流していたのでは、未来が明るくなりません。
教員の業務は特殊だからと理由をつけて、給特法により残業代を出さないわけですが、それは公立学校の話であって、私立学校ではきちんと残業代を出しています。業務の特殊性と残業代不払いはセットではありません。
私たちの手で未来は変えられる。子どもたちにそう教えるのですから、それを実践できる人が求められます。
いまはブラックな職場かもしれませんが、そのブラックな職場で働く人だからこそ、職場を明るくさせることができるでしょう。味方は、学校の中だけではありません。私たちのように、地域に労働組合の仲間がいます。ぜひ一緒にたたかいましょう。
公立学校の教員を受検したい人は注目してください 長時間労働の上、残業代が出ません
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