レインボーユニオンは14日、10月からの最低賃金を931円にする答申を受けて、新潟労働局長に対して異議申出書を提出しました。
今年度の専門部会は、三者協議の部分を公開しましたが、どのような協議が行われたのか報告すら行われず、実質的に非公開でした。
これでは、道理のある異議申立てをすることができません。
また、931円では、労働者の生計費を満たしていません。
そのため、異議申立てをするものです。
異議申立書
今年度の新潟県最低賃金の審議にあたり、手続き上の問題があるので、再度審議を行っていただきたい。また、答申金額は、労働者の生計費を満たさないので、見直していただきたい。
1 審議のプロセスが不透明で道理のある異議申立てが困難である
最低賃金法において異議申立の手続きを定めているが、異議申立期間中に公示される最低賃金審議会の意見の要旨が著しく不十分であれば、異議申立てしようとする者は、道理のある異議申立てをすることができない。
2017年度新潟県最低賃金を決定するために開催された計4回の専門部会では、労使双方の提示した金額とその理由が明確にされながら審議が進んだ(資料No.1)。しかし、今年度の議事は、二者協議の経過は全体会議に報告されず、議事録にも残らなかった。これでは、議論の経過がわからず、異議申立てをしようにも困難である。
2023年4月6日開催の第11回中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会で配布された資料には、「議事の公開が議論になるのは、外から見て、目安審議における議論のプロセスに不透明感があるということかと思う」という意見が掲載されている。議事が非公開でも金額やその理由を明らかにした全体会議が議事録として記録された以前と比べて、公開となったにもかかわらずすべて二者協議で審議が進行し、記録にすら残らないでは本末転倒である。今年度の審議は、まさにこの不透明感を拭い去れないものだった。
長野(資料No.2)や鹿児島(資料No.3)では、審議途中の金額も報道されており、新潟とは対照的である。
今年度の異議申立は、審議のプロセスをうかがい知ることができず、最低賃金法が想定する手続きを踏んでいないため、適切な意見の要旨を公示できるように改めて正しい手続きで審議を行っていただきたい。
2 答申金額は労働者の生計費を満たさない
静岡県立大学の中澤秀一准教授が行った最低生計費試算調査では、健康で文化的な最低限度の生活を送るためには、全国どこでも時給1,500円以上が必要であることを明らかにしている。
連合リビングウェイジでは、新潟県では、自動車を保有していなくても、時給1030円を必要とする。
最低賃金の決定に関するILO条約(第131号・日本は1971年に批准)には、「最低賃金水準の決定にあたり考慮すべき要素」として、「労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会的集団の相対的生活水準を考慮したもの」とあるとおり、家族生活を前提としている。したがって、最低賃金と生活保護との比較においては、若年一人世帯ではなく、ひとり親世帯の保護世帯と比較することが適当である。新潟市に住む親(20歳~40歳)と子(0歳~2歳)の保護世帯の保護費は、月額183,880円であり、これを時給に換算すれば、(さまざまな計算方式はあるものの)時給1,000円を超える。
いずれにせよ、これらより低い答申金額は、労働者の生計費を満たさないことは明白であり、最低賃金法第9条第2項の労働者の生計費が考慮されていないから、見直していただきたい。
以上