レインボーユニオンは29日、新潟地方最低賃金審議会の運営に関わる要望書を新潟労働局に提出しました。
これまで、最低賃金審議会は具体的な金額審議を行う専門部会を非公開で行ってきましたが、全国議事録調査などの私たちの取り組みによって、目安制度の在り方に関する全員協議会の報告書の中で、「議事の公開」を取り上げなければならなくなりました。
地方の審議会において、いたずらに非公開にするような、これまでと同様の態度を取らせないための重要な局面を迎えています。
新潟地方最低賃金審議会の運営に関わる要望書
審議会運営は、審議会等の整理合理化に関する基本的計画(1999年4月27日閣議決定)に基づき行わなければなりません。また、中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告(2023年4月6日)において一定の方向性が示されました。
そこで、審議会運営をいま一度点検し、不適切な運営がなされないよう要望します。
記
(1)調査審議に当たり、意見聴取を実施する際は、関係者の利益の公正な均衡の保持に留意しなければならないことから、広く県内の労使に意見を募る際、十分な時間をかけて質疑を交わしたり、事業場視察を行って、審議においてそれらの者の意見をできる限り多く採り上げ、エビデンスに基づく審議を実施すること。
(2)少なくても公労使三者が集まって議論を行う部分については、専門部会や異議審も含め公開すること。
(3)会議については、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあることを理由にして非公開にしたとしても、会議終了後に作成される議事録は、そうした「おそれ」の範囲が縮まることから、議事と議事録の公開非公開は、別々に検討すること。
(4)特段の理由により議事及び議事録を非公開とする場合には、その理由を具体的に明示すること。また、最低賃金法で定められた異議申出制度を運用するために必要な日数を鑑みて、議事要旨については速やかに公開すること。
(5)最低賃金の改正決定に係る異議申出を募る際には、議論のプロセスをできるだけわかりやすく示す資料を添付すること。
(6)議事録は速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保すること。
(7)増員するなどして、事務局体制を強化すること。
以 上
全国一律1500円を目指すため、意見書を7月20日、提出しました。8月1日開かれた審議会で口頭陳述も行いました。
新潟県最低賃金の改正決定に関する意見書
1 新潟県最低賃金は、時給1,500円を目指すこと。
2 地域別最低賃金の地域間格差を縮小するための改正をすること。
昨年からの物価高騰で、私たちの生活は圧迫され続けています。それに対応するために、定例で改定する秋を待つことなく、最低賃金をフランスなどのように前倒して改定するように昨年9月と11月の2回、貴職に申し入れていましたが、実現されませんでした。その分だけ、とりわけ非正規労働者は苦しんでいます。
春闘の賃上げは、30年ぶりの高水準だったと伝えられています。しかし、中小零細企業で働く労働者や非正規労働者は、物価高騰を超える昇給を実現していません。物価高の影響は誰もが受けるのですから、賃上げの流れはすべての労働者に行き届かせるべきです。最低賃金の引き上げは、その点で重要な役割を果たすものです。
諸外国は、コロナ禍にあっても最低賃金を大幅に引き上げました。米ワシントン州は2,195円、オーストラリアは1,965円、フランスは1,690円ですが、日本は低い水準のままで、もはや先進国とは言えません。
地域間の格差も問題で、最低賃金の最高額の東京1,072円と新潟890円では、約2割ほどの差がついています。
静岡県立大学の中澤秀一准教授が行った「最低生計費試算調査」では、健康で文化的な最低限度の生活を送るためには、全国どこでも時給1,500円以上が必要であることを明らかにしました。都市は住居費が高いものの、地方は自家用車を利用する人が多く、維持費などがかかるためです。
私たち労働者の収入が物価高騰に追いつかなければ、消費は伸び悩み、苦しむのは経営者です。また、政府は少子化に危機感を募らせていますが、若い世代はますます結婚や出産をためらいます。
持続可能で安心して暮らせる社会を実現するために、将来に希望が持てる時給1,500円への引き上げを求めます。
以上