試用期間中に辞めると言ったら損害賠償請求を受けた

こんなご相談です。

再就職をして、いまは試用期間中です。家族の都合で急に引越をしなければならなくなり、仕事を辞めたいと申し出ました。そうしたら、損害を賠償しろと言われ請求されました。就職するときに、いろいろな書類を出していますので、すごく気になります。どうしたらいいでしょうか。

会社は損害を受けない

余人を持って代えがたいような労働者なら、会社は、採用するためにものすごい準備をしているでしょう。そのような労働者から突然、退職を申し出られたら、会社はたしかに大変です。仮に、それを最初から見越して、その労働者がそんなことをしているのなら問題になるでしょう。

ですが、ふつうの労働者は、そんなことはありえません。会社が労働者を採用したり、あるいは、労働者が退職することは、日常的に起こることです。労働者が一人辞めたぐらいで、会社は損害を受けません。

試用期間中なら

試用期間中ですから、雇われてすぐのことです。試用期間といえども、雇用契約を結んでいる期間中ですから、通常通り考えてかまいません。

試用期間中が無期雇用であるならば、就業規則等に定める通常の手続きを取り、退職することが可能です。

一方、有期雇用なら、期間の定めは労働条件の一つですから、退職するためには労使双方の同意が必要です。とはいえ、引越をしなくてはならないから退職を申し出たという理由は、やむを得ないものでしょう。

個人情報の取扱い

会社は、労働者に関する書類を保存する義務があります。労働者名簿、賃金台帳、出勤簿といったものが挙げられます。たとえば、未払いの残業代を請求する場合、そうした書類は会社が保管しているため、それを元に計算することとなります。

もちろん、退職した人の個人情報は、そうした目的以外に利用すべきものではありません。

驚かない

会社のような大きな相手から、いきなり損害賠償請求などという恐ろしげな言葉が出てくると、それだけでお金を払ってしまう人がいます。まるでオレオレ詐欺のようなものです。

お金を払ってもいいことが起きませんし、払わなくても悪いことが起きません。

相談できるところを探しましょう。すぐに思いつくのは、法テラスや自治体で実施している法律相談ではないでしょうか。

まず、冷静になって、驚かないでください。