ハラスメント防止法がようやく出てきました。これからは労使の具体的なたたかいにうつり、司法の場での積み重ねの勝負になるわけです。
と思っていたら、厚生労働省が横やりを入れてきました。「パワハラではない事例集」を出してきたためです。
パワハラとは
パワハラは、3つの項目で定義されます。
- 職場でおこなわれる
- 優越的な関係を背景にする
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えている
わかるようなわからないグレーゾーンがあることは理解してもらえると思います。このグレーゾーンを広げるか狭めるかで争っているわけです。
この争いの中には、もちろん、誰しも自分事です。他人事ではありません。
厚労省がパワハラではない例を出してきた
パワハラである、パワハラではない、この2つがオセロをしているようなものだと考えてください。
「パワハラではない」という駒が置かれるたびに、パワハラである陣地は狭められていって、グレーゾーンでさえ狭められていきます。
たとえば、厚生労働省は「けがをしかねない物を投げつける」はパワハラであるが、「誤って物をぶつけてしまい、けがをさせる」をパワハラではない例として出してきました。
これだけ取り出せばなるほどと思うかもしれません。
ですが、パワハラ加害者は、こう言うはずです。
「わざとやってない。」
当然です。わざとやったとしても、「わざとじゃない」と言い始めるに決まっています。
このほかには、「意に沿わない労働者を長期間、別室に隔離したり自宅研修させたりする」はパワハラですが、「新規採用者を育成するために短期間、集中的に個室で研修などの教育を実施」はパワハラでないというのです。
どれぐらいか短期間かわかりませんが、個室で研修で思い出すのは、餃子の王将の新人教育です。スパルタ式というより洗脳に近いでしょう。
あれがパワハラではないというのなら、なんだというのでしょう。
「新卒採用者にとうてい対応できないレベルの業務目標を課し、達成できなかったら厳しく叱責」はパワハラで、「労働者を育成するために現状より少し高いレベルの業務を任せる」はパワハラではないという指針もあります。
少し高いレベルの業務をまかせたと言い切ってしまえば、次の仕事を見つけるための転職活動をさせても、問題ないと受け取られたら、たまったものではありません。
グレーゾーンをアウトにすべき
パワハラかどうか、損害賠償が認められるかどうかは、裁判で争われることになります。
パワハラかそうでないかの境目には、グレーゾーンの勾配が生じます。厚労省の指針は、このグレーゾーンをアウトにして予防する立場に立つ必要があります。
パワハラ防止指針を作るのであれば、パワハラ加害者の言い訳集を作るのではなく、本当の意味でパワハラ防止となるように作るべきでしょう。
パワハラは相談しよう
パワハラかそうでないかはともかくとして、そうした状況になると、自分を責めたり、自分が我慢すればいいと思い込んだりします。
たしかに、パワハラかどうか二者択一で決められないこともあります。
ですが、もしもパワハラを放置するような職場環境ならば、改善させた方がみんなのためです。同じようにして泣いてきたり、職場を去った人もいるのではないでしょうか。
にいがた青年ユニオンは、会社に労働組合がない、あっても御用組合で動いてくれないというような労働者のための労働組合です。当然、あなたも加入できます。
労働基本権を活用して、あなたの問題を解決しましょう。ぜひご連絡ください。
パワハラを弁解するような指針案が出てきた
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