パワーハラスメントやセクシャルハラスメントは、労働者の尊厳を損なわせ、職場での生産性を低下させます。誰にとっても利益はありません。
それなのに、最近の労働相談で最も多いものが、いじめやハラスメントです。
セクハラとは
わかりきっているかもしれませんが、セクハラとは何でしょうか。
法律では、男女雇用機会均等法11条1項に、その定義が定められています。
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
つまり、3つの要素で理解できます。
まず、「職場」において行われることです。ただし、この場合の職場には、「取引先の事務所」「顧客の自宅」「出張先」などのように、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含みます。そして、勤務時間外の「宴会」などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当するが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行われます。
「性的な言動」については、事業主や上司、同僚に限りません。取引先や顧客なども、セクハラの行為者になり得るものです。また、「男性から女性」だけでなく、「女性から男性」、「女性から女性」、「男性から男性」に対しても、セクハラが成立します。
最後に、「労働者」については、当然のことですが、正規労働者だけではありません。パート労働者や契約社員など労働者すべてです。
パワハラの3要素
パワーハラスメントもセクシャルハラスメントと同様に、3つの要素をすべて満たすものとして整理されています。
優越的な関係
その行為を受ける人が、その行為をする人に対して、抵抗したり、拒絶することが難しいことがほぼ確かと思われる場合です。
たとえば、職務上の地位の高い人によって行われるとか、同僚や部下であっても、業務上の知識や経験の豊富さの格差があって、その人なしに業務が遂行できなかったり、集団になっていじめるようなケースです。
業務の適正な範囲を超える
一般的に考えて、その行為が明らかに業務上必要性がなかったり、必要性があるにしてもそのような方法である必要性がない場合です。
業務として不必要な行為、その目的を大きく外れている行為、手段として適切ではない行為、回数や人数などさまざまな要素を考えて一般的に許される範囲を超えている行為が当てはまります。
身体や精神に苦痛を与えたり働く環境が悪化する
その行為を受ける人が、身体的だったり精神的に圧力を加えられて負担を感じたり、そうした行為により就業環境が不快になって、重大な悪影響が出る場合です。
具体的な6つのパターン
こうした3つの要素を満たすものがパワハラですが、具体的に6つのパターンが挙げられています。
まず、身体的な攻撃です。上司が殴ったり、蹴ったりする行為です。ただし、同僚どうしでけんかをするようなものは、異なります。
それから、精神的な攻撃です。上司が部下に対して、人格を否定するような発言が出てくると、これになります。とはいっても、上司としても職場の秩序を守ることは必要な業務なので、たとえば遅刻を繰り返したり、服装を整えてこなかったり、社会人としてのマナーがなっていなかったりするために強く注意するようなケースは、パワハラではありません。
人間関係からの切り離しは陰湿です。上司が自分の意に沿わないからといって、部下を仕事から外して長期間にわたって別室に隔離したりするケースです。新人研修などの業務上必要な研修のために、短期的に移動するケースは、パワハラとは言えませんが、もし退職強要が行われているのなら、問題です。
過大な要求をすることもパワハラの一種です。肉体的な苦痛を伴うような過酷な条件で勤務に直接関係のない作業を行わせたり、深夜に及ぶまで作業を命じた上に早朝出勤させるような場合が考えられます。
逆に、過小な要求をすることもパワハラです。技術職の人を事務職にしたり、管理職の人の役職を奪って、誰でもできるような受付だけをさせるなど、働く人の誇りを傷つけます。ただし、会社経営上の理由で一時的なケースなど、やむをえないケースもあります。
個人的な事柄を侵害されるケースもあります。私的に写真撮影をしたり、思想信条を理由として監視したりする場合です。労働者は、労働力だけ売っているのであって、身体や良心まで売り渡しているわけではないのですから、当然です。
ハラスメントを止めるためには労働組合に加入しよう
事業主にはパワハラやセクハラを防止する義務がありますが、それがうまく働いているのなら、労働相談のトップがハラスメントになることはありません。
私たち労働者は、賃金を受け取る代償に会社に対して労働力を提供します。
個々の労働力は、会社組織の中で活かされ、組み合わされ、事業を動かす力となるはずです。それは、ハラスメントの行為者も同じです。組織の目的に沿った労働力を売り渡していれば、ハラスメントは起こしようがないのです。
ハラスメントが起きるということは、組織の目的から外れる人がいるということ。
これを改善するには、事業主の力だけでなく、労働組合がバランスを取らなくてはなりません。事業主は絶対に間違った方法を取らないわけではないからです。
まず、労働組合が身近にあれば、ハラスメントに関して会社と定期的に交渉しましょう。ハラスメントを許さない環境づくりを行いましょう。
身近になければ、労働組合を作るところからスタートです。地域で活動する労働組合に加入しましょう。私たちレインボーユニオンは、新潟を中心に活動する労働組合ですが、「ユニオン」をキーワードにして検索してみてください。お住いの地域にもあるはずです。
日本人の中では、労働に関するトラブルがあると、すぐに労働基準監督署を思い浮かべる人が多くいます。ですが、労働基準監督署は、「労働基準法の警察署」です。取り締まることのできることは、その場限りで取り締まりますが、それで終わりです。
一人だけ良くなっても全体は良くなりませんし、一時的に良くなってもずっとはよくなりません。
職場をよくするためには、労働者みんなの力が必要です。そのためにも労働組合を作って、会社と交渉しましょう。
ハラスメント防止のためには労働組合へ
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