労働基準監督署は、実のところ、何でも解決してくれる駆け込み寺ではありません。ですが、労働基準監督署は実は警察ですので、対応してくれることに合致すれば強力です。
労働基準法との関係
労働法の中でも、特別有名な法律は、労働基準法です。労働基準法に違反すると、労働基準監督署が取り締まってくれます。
労働基準法には、具体的にどのような事柄が書いてあるでしょうか。いくつか例を挙げてみます。
- 雇い入れ時の労働条件の文書明示
- 労働時間の上限、残業時間
- 休日、休憩
- 有給休暇
- 賃金の支払い方
- 時間外、深夜、休日労働の割増率
- 解雇予告
- 産前産後の就労
労働基準法以外に、最低賃金法には最低賃金のことが、労働安全衛生法には健康診断や有害業務などが書かれており、これらも労働基準監督署が取り締まってくれます。
労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法をそれぞれ検索してみてください。その後ろの方に「罰則」という章が設けられています。つまり、これらに違反した場合は罰則があり、それを取り締まる行政機関が、労働基準監督署ということになります。
逆に、労働基準監督署が取り締まらないこともあります。
- 解雇の妥当性
- 配置転換の妥当性
- セクハラ、パワハラ
- 人事評価の公平性
- 懲戒処分の妥当性
- 整理解雇や雇い止めの有効性
現実の職場で起こりそうな労働問題は、労働基準監督署がノータッチとなるケースが多くあります。
たとえば、解雇の妥当性は、労働契約法に書かれています。労働契約法を検索してみるとわかりますが、罰則はありません。つまり、誰も取り締まることがありません。裁判に持ち込んたときに、裁判所が判断してくれる基準になります。
もちろん、個別紛争あっせん制度があり、労働基準監督署に駆け込むと勧められることがあります。
労基署の得意分野を利用する
つまり、労働基準監督署には、できることとできないことがあります。できることを見定めて利用しましょう。
たとえば、残業代未払いの請求は、得意分野です。
資料をそろえましょう。働いた時間を記録したタイムカード等、いくら支払われたのかわかる給料明細等があれば、引き算すれば良いわけですから、どれだけ未払いになっているかわかります。
私も未払い賃金の請求をしたことがあります。私の場合はあらかじめ何が起こるわかかってたので、中身に概要を書いて「申告書」と題をつけてA4で1枚の紙にして持って行きました。相談後、あらためて「申告する」と言えば、労働基準監督官が所定の用紙を出してきます。どこに何を書けばいいかは、丁寧に教えてくれます。そこに必要事項を書くといいでしょう。その結果、約80万円の未払い賃金を取り戻すことができました。手続きはそれほど難しくないわけですから、ぜひやってみましょう。
このように、実は残業代未払いは、労働組合や弁護士に依頼しなくても自分の力でできます。まずはやってみることをおすすめします。その上でうまくいかないようなことがあったら、労働組合や弁護士に相談してください。
不得意分野は労働組合へ
即日解雇されたときに、解雇予告手当を支払うといった手続きについては、労働基準監督署が監督してくれますが、解雇そのものが有効かどうかは判断してくれません。
こういう件は、労働組合の出番です。
労働組合は、労働者が集まって作る団体です。労働者の労働条件向上を目指して活動しています。日本では、会社ごとに作られている労働組合がメジャーですが、にいがた青年ユニオンのように、会社の枠を超えて作られる「ユニオン」と呼ばれる労働組合もあります。
労働組合は、団体交渉できます。会社に対して交渉を申し入れると、会社はその申し入れそのものを拒否することができません。話し合いは、資料を提出したりしながら、誠実に行わなくてはなりません。つまり、なぜ解雇したのか、解雇の理由は正当なものかどうかを話し合うわけです。
労働基準監督署と違う点は、みんなの力を合わせるという点です。一人で行うのではなく、組合員みんなの協力で行うのは、本当に心強いものです。こうしたメリットは、労働基準監督署にも弁護士に依頼したときにもまずありません。
労働組合もまず相談から始まります。にいがた青年ユニオンでは、秘密は厳守されますし、LINEやメールで相談できます。気軽に相談してみてください。
労働基準監督署に駆け込むとどうなる?
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